『感染遊戯』単独で読んでもおもしろい!姫川シリーズ番外編?

こんにちは。山内健輔です。

人気作家の誉田哲也さんの作品の中でも、根強い人気の「姫川シリーズ」
個性的なキャラクターが躍動するシリーズで、多くの作品が出版されています。

『感染遊戯』はその中のひとつですが、番外編になっていて、単独で読んでもおもしろい小説です。

現代社会での事象を物語の事件と絡めて問題提起しているのも特徴ですが、それよりも読ませる技術がすごいんです。

  • 話のテンポとキャラの濃さ。
  • 事件の展開のしかた。
  • 人物たちの背景の描き方。
  • 仕組まれたストーリー構成。
  • 現代社会が抱える問題とリンク。

読んでいるうちにどんどんハマっていく作品です。

姫川シリーズ(ストロベリーナイトシリーズ)ファンはもちろんのこと、単発で読んでも充分に楽しめます。

今回もネタバレなしで紹介していきます。

『感染遊戯』誉田哲也著
2013年11月(光文社文庫)

『感染遊戯』単独で読んでもおもしろい!姫川シリーズ番外編?

※ご注意
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確認してから購入することをおすすめします。

警察小説が好きな人はハマるはず!

こんな人におすすめ!
姫川シリーズファン
警察モノが読みたい
◯小説にリアリティを求める
◯おもしろいシリーズものを探している
何年も前に読了していたのを忘れて、再読しました。
誉田哲也作品は、分かりやすい文章なので、スラスラ読み進められるのが特徴です。
内容も完全に忘れてしまっていて(本を乱読するのですぐに内容を忘れてしまう)、新鮮な気持ちで読了できました。
有名なストロベリーナイトに出てくる「姫川主任」のシリーズの番外編になっているのですが、他を読んでいなくてもなんら問題なく読めます。
誉田作品は登場する人物たちの背景を描き、それを基にした感情を描き出すのが抜群にうまいです。
なので、ストーリーに引き込まれるのと同時に、登場人物たちに愛着が湧いてきます。
読んだあとは姫川シリーズのほかの作品を読みたくなっているはずですよ。
おもしろい警察小説を探しているひとにはピッタリの作品でもあります。
事件の捜査のしかたや警察の内部事情についても詳しく描かれていて、続編も含めて読んでいけばかなり警察モノにも詳しくなること間違いなしです。

シリーズものだが、単独でも充分おもしろい!

この小説の特徴。

  • 読みやすい文章で一気読みできる
  • シリーズものだが、単独でも読める
  • 複数の主人公で場面転換も多め
  • 登場人物の個性強め
  • 他作品では脇役の人物像を深堀り
  • 現代社会の問題とリンク
  • 章の構成が見事

前述した通り、「姫川玲子」という刑事のシリーズの1つで、サイドストーリー的な物語です。
ですが、今回は姫川玲子は脇役
全く別物として単独でも読むことができるんです。

複数の主人公が事件を解決するつくりになっているのですが、その構成がひと工夫されています。
事件の展開も早く、テンポよく場面が切り替わっていくので一気読みも可能です。

現代社会の抱える問題をうまくリンクさせて、章ごとに視点の人物を変えているので、読者も飽きないで楽しめます。

みどころは「それぞれの正義」

『感染遊戯』でのみどころは、アクの強い刑事の人間味。
仲間を蹴落としてでも手柄を挙げようとする姿で嫌われがちですが、「この作品で見直した!」という声も聞かれます。

複数の事件とストーリーをテンポよく展開していって、最後にまとめる構成。
内容は書けませんが、現代日本でも話題になったテーマをうまく噛み合わせてリアリティあふれるストーリーに仕立てるうまさは群を抜いているように感じます。

なによりも個々のキャラクターの濃さとそれぞれの正義に基づいた行動をうまく表現している作品といえましょう。
登場人物たちの正義と人生を応援したい気持ちにさせてくれます。

事件の是非を考えると、難しくなってしまいます。
それよりも、誉田作品のよさは、登場人物たちの正義と人生を見守るストーリーとして読むことで感じられるはずです。

話の展開のしかたに脱帽。

物語は複数の事件が重なり合って、社会の流れと真相につながっていく構成になっています。
少し前(10年ほど前)の作品になりますが、現在でも全く色褪せないです。

謎解きのミステリーというよりは、深く考えすぎずに読み進めていくことで自分が謎を解いている感覚になる小説でしょう。
誉田作品が人気な点は「次はどうなるのか……」と着々とページをめくってしまう文章です。

主人公の一人は口が悪い役回り(実社会にいたら~ハラスメントですぐ訴えられそう~)ですが、時折見せる人間味がギャップを生んで応援もしたくなってしまうような文章の巧緻さが光ります。

タイトルの深いネーミングセンスと読んでいて繋がっていくストーリーによって、作者の術中にハマっていくことに妙な納得感を味あわせられた、という感想でした。

最後に。

単独で読んでももちろんおもしろい作品なのですが、『感染遊戯』を読んでみて登場人物の魅力からシリーズものも続けて読んでみたくなる作品です。

さらに、誉田哲也は、警察モノ以外にも多彩なジャンルを扱っています。
ファンタジーや剣道、ロック……さまざまな知見を多くの作品に活かしている人気作家です。

読みそびれた~と思ってしまっていても大丈夫。
誉田作品は多少時間が経ってしまっていても色褪せないのです。

今からでも一気にシリーズ制覇も遅くはないですよ。
さらに『感染遊戯』で出てきた人物たちが、他のシリーズにも登場したりして誉田ワールド全体で楽しむことができるんです。
ぜひ、読んでみてくださいね。

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