生き物博士・千石先生の言葉『つながりあういのち』を読んでほしい!

こんにちは。山内健輔です。

私は子供のころから生き物が好きでした。
テレビの動物番組『わくわく動物ランド』をみて、いろんな動物の生態を文字通りワクワクしていたのを覚えています。

そのわくわく動物ランドに出演していた独特な風貌と口調で生き物たちの解説をしていたのが、両生類・爬虫類学者の千石正一先生。

ユーモアを交え、矛盾だらけの人間社会を皮肉りながら分かりやすく生き物を紹介していたのが印象的でした。
口調は少し乱暴でしたが、どんな生き物へも偏見をもたずに接していたのを覚えています。

2012年に千石先生は62歳という若さで亡くなってしまいました。
でも、最後にこれから地球を守っていく私たちにメッセージを残してくれていたのです。

『つながりあういのち~生き物博士千石センセイ最後のメッセージ』は、いのちの大切さを教えてくれる本です。

生き物が好きな人だけじゃなくって、すべての人に読んでほしいメッセージが詰まっています。

◯日ごろから思っていたこと
◯死の間際に思ったこと
◯最後に伝えたいこと

私はこの本を読んで千石センセイの思いをつなげていきたいと思いましたよ。

生き物博士・千石先生の言葉『つながりあういのち』を読んでほしい!

『つながりあういのち~生き物博士千石センセイ最後のメッセージ』
2012年4月 ディスカヴァー・トゥエンティワン社
※ご注意
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。

すべての人に読んでほしい

こんな人におすすめ
◯生き物が好き
◯地球環境を守りたい
◯子ども
◯親
◯地球に生きる人

この本は千石正一先生が最後に遺した本です。
病状が重くなりながらも、これから先も生きていく私たち人類に向けてメッセージを遺してくれました。

ときには体調が悪い時もあったはず。
それでも千石先生が生涯をかけて伝えようとしてきたことを書いたのです。

って、いわれると「重い」本なのかな~と思いますよね。

でも、ぜんぜん自分のつらいことなんて書いていないんです。
むしろさっぱりしているくらいで。

口調も今まで通り。
ちょっと乱暴な言葉づかいで、ユーモアにあふれていて、鋭い指摘が入る・・・。

本を読んでいくと分かるのですが、千石センセイの生い立ちが書いてあります。
少年時代のエピソードも多く語られています。

千石少年は大人になってもそのまんま!

少しトガっていても、正義感が強く、偏見ももたない。

すべての生き物に愛情をもっているんです。

「可愛らしいネコも見た目で嫌われる爬虫類もみんなひとつのいのち。地球に暮らす仲間」

と表現しています。

私のような千石センセイを知っている世代(テレビに出演していたのをみていた世代)だけでなく、どの世代の人にも読んでほしいメッセージが詰まっているんです。

もちろんお子さんにも読んでほしい。
(ただし、小学生の高学年以上ぐらいでないと理解しにくいかもしれません)

絶対に「読んでよかった!」って思うはず!

すべての命が大切だってことが分かる!

この本の特徴

  • ユーモアがある
  • 切れ味の鋭いトーク
  • わかりやすい
  • 人や生き物に対する愛情
  • 地球環境を守りたい

私が子どものころテレビで見ていた千石センセイは、カエルやトカゲを素手で掴んだり、大きなヘビを首に巻いたりして楽しそうにしていました。

※テレビ番組『わくわく動物ランド』『動物奇想天外』に出演していました。

話し方もぞんざいで、当時は長髪の姿。
(当時は長髪の男性はほとんどいなかったんです)
小学生だった私は「ちょっと変な人」といった、見た目で偏見をもってセンセイのことをみてしまっていたんです。

完全に風貌や口調だけで判断してしまっていました。
でも、この本を読むうちに「どんな生き物も繋がっていて大切な命なんだ」ってことに気づけたのです。

千石センセイは両生類と爬虫類の研究者ですが、動物全てに詳しい人。

東京環境工科専門学校の講師、帝京科学大学、星槎大学客員教授をつとめたほか、TBSテレビの『わくわく動物ランド』や『どうぶつ奇想天外!』に出演していた。

Webcat Plus「千石正一」より引用

この本で分かること

  1. 地球もひとつの命
  2. 生物多様性のおもしろさ
  3. 生き物のおもしろさ
  4. 食べ物といのち
  5. ミーム(意伝子)

「いのちのつながり」って聞くと、どうしても親から子へ世代をつなげていくイメージになりがちです。

でも、それだけじゃなくて、私たちが日ごろ食べているものもいのちのつながり
食物網も生物多様性もいのちのつながり。
私たちが住んでいる地球もいのち。

この本を読むと

「結局はすべての命がつながっていて、すべてのいのちが大切にされるべきだ」

ってことが分かります。

生き物も自分の人生もマクロ視点でみる!

本の前半は今まで千石センセイが歩んできた人生を振り返っています。

そして、後半はいよいよ私たちへのメッセージ。
話がいろんな方向に飛んでいるようにみえますが、実はそれもつながっていて「いのちのつながり」を表現しているんです。

センセイの病状は深刻で痛かったり、苦しかったりするはずなのにどこか客観的で悲壮感がないのがすごい。

「自分が死ぬのは嫌だけどしょうがねぇなぁと思っている」と語る通り、自分の死も「個体の死」としてとらえています。

生き物の死は「個体の死」であって、これも「いのちのつながり」のひとつとして考えています。

ただし、種族の死つまり絶滅は「いのちのつながり」を断ち切ることになるので回避しなければならないとも考えているのです。

千石先生のメッセージに震えた!

そこで考えた。
たとえ自分のいのちが終わったとしても、自分の考えが残っていれば、それは「いのちがつながっている」ということだ。
だったら、俺の考えを書き残しておこう、と。

『最後に』から引用

親から子へ引き継がれるのが遺伝情報「ジーン」
人間の心から別の人間の心へと受け継がれるのが「ミーム」(意伝子)

私やみなさんは、千石センセイの子どもではないからセンセイの遺伝情報は引き継げません。

でも、「ミーム」なら引き継げます。

地球と「つながりあういのち」を守る!ってこと。
そのミームを次の世代に受け継いでいきたいと思ったこと。

私は千石センセイのミーム、受け取りました。
あなたはどうしますか?
私は広げていかなければならないと思いました。

千石センセイが病床で死の間際に書いた本。
食べ物が食べられなくなっても伝えたかったメッセージです。

最後に。

この本はいろんな「いのちのつながり」が分かる本です。
単純に地球環境に対する警鐘を鳴らすだけの本ではありません。

著者が病床で身体が弱っている状態で書き上げた本なのに、私には大きなエネルギーをもらいました。

本を読むのが苦手な人は「最後に」の章だけでもいいので読んでいただきたい。

この本は今まで読んだなかでもベストの部類に入る良書です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。


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