こんにちは。山内健輔です。
新選組の土方歳三が主役の小説は数多く読んできました。
その中でも、私がいちばんのお気に入りの作品『燃えよ剣』。
司馬遼太郎の代表作ともいえるこの小説は50年以上も前の著書ですが、時代を超えて読みつがれている国民的ベストセラーといえる作品です。
司馬作品はいくつか読んでいますが、その中でもベストの部類に入るほどのおもしろさ。
歴史好きはもちろん、歴史や幕末に詳しくない人にも読みやすくて入門編としても最適です。
私が幕末や新選組に興味をもったきっかけになった本でもあります。
テンポもいいので一気読み、それでいて読み応えも充分です。
今回の記事では、読みだしたら睡眠不足に要注意の小説をネタバレなしで紹介していきましょう。
1972年6月(新潮社)
小説『燃えよ剣』は司馬遼太郎の最高傑作。ラストに注目!
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確認してから購入することをおすすめします。
幕末や新選組を知るのにも最適。
◯土方歳三ファン
◯歴史好き
◯女性にもおすすめ
◯新選組を知りたい人
◯長編小説の名作を探している
50年以上も前の本ですが、基本的に現代語で書かれているので読みやすくなっています。
歴史や土方歳三を知らなくても楽しんで読めるはずです。
私が幕末や新選組に興味をもったきっかけにもなった本でもあります。
悪ガキ(バラガキ)時代の因縁や恋愛要素もあるので、どんどん物語に引き込まれていくことでしょう。
歴史好きだけでなく、読書が好きなら一度は読んでおきたい名作ですよ。
歴史が苦手でもテンポよく読める。
『燃えよ剣』の特徴は、
- 創作部分がおもしろい
- 長編だが一気読み
- 何度も読み返せる
- 読みごたえも充分
- テンポがいい
- 臨場感のある戦闘場面
- 登場人物が魅力的
- 登場人物は多め
- 幕末・新選組の入門にも最適
読み始めは、なんとなく時代を感じさせるような独特な語り口で、現代小説を多く読む人にとっては違和感を感じるかもしれません。
ですが、すぐに司馬遼太郎ワールドに引き込まれるので心配はいりません。
数ページ読むだけで全く気にならなくなります。
おまけに、長編で読み応えもあるのに、文章のテンポがいいので一気に読み進められるんです。
個性的な登場人物たちとのやりとりと臨場感あふれる戦闘シーンで幕末の世界を楽しめます。
土方歳三と新選組の活躍を追いながら、歴史の事件も体験できるので「幕末の流れ」も一緒に学ぶことができるんです。
新選組の物語は、幕末は話がややこしく難解になりやすいなかで、架空の人物たちがストーリーを魅力的でおもしろくしているのも特徴のひとつ。
土方歳三の生き方はもはや伝説的。
江戸時代は身分の壁がとてつもなく高かったといわれています。
そのなかで、歳三はまだ新選組をつくるもっと前から実家の玄関先に「矢竹」(篠竹)を植えていたのでした。
矢竹は弓矢をつくる材料になるもので、武士の庭には植えられていたそうです。
東京都日野市にあった土方歳三の実家跡にあった土方家の子孫の方々が運営してくださっていた資料館。
私も何度か訪れたことがあります。
土方ファンなら感涙にむせぶような品々が陳列されていました。
現在は長期休館中。
もちろん新選組を作る前は、歳三はまだ武士ではありません。
その頃から武士になることを決めていたんです。
新選組時代も含めて、『燃えよ剣』の土方歳三は、もはや「伝説」といえるほどカッコいい生き方を見せています。
多くの者が思想や時流に翻弄されるなかで、自分は一介の「喧嘩屋」として立ち居振る舞う……。
物語の流れは、ほぼ史実どおりに進んでいきますが、みどころは創作部分。
どうしても歴史モノなので行く末は予想できます。
ですが、創作部分に関してはどうなるのか、ハラハラしながら読み進めることができます。
そして、いちばんのみどころは、ラストシーン。
まだ読んでいない人は必ず最後まで読んでほしいですね。
司馬遼太郎の作品は、取材が緻密なことで有名です。
この作品でも、物語の本筋とは別に余談が書かれていて、「へぇ~」と唸らせられます。
読者の興味の幅が広がるように書かれているんです。
執筆から50年以上も経ても読みやすい、古くならない文章。
まさに不朽の名作といえるでしょう。
司馬作品の最高傑作といえる!
司馬遼太郎『燃えよ剣』の感想は、「カッコいい!」。
史実ではない創作部分を否定する人もいますが、この本は教科書ではないのです。
あくまで歴史小説、「エンターテイメント」。
むしろ創作部分である、多摩時代のライバルや恋人の存在がストーリーに華をそえているといえます。
新選組を最強の組織に作り上げた土方歳三も尊敬に値しますが、これほどドラマチックに土方歳三の生涯を書き上げた司馬遼太郎の筆力には感服です。
現在の土方歳三の人気も『燃えよ剣』の影響によるところもあるはず。
物語を読んでいると、世間でいわれるほど鬼でも冷徹でもない印象。
著者の歳三への愛を感じる作品で、間違いなく名作です。
『燃えよ剣』の映像作品はたくさんありますが、本を読んでみると映像化したくなる気持ちもわかりますね。
とくにラストシーンは、司馬作品の中でも最高傑作といえます。
最後に。
今まで私は、かなりの数の本をよんできましたが、もしかしたら『燃えよ剣』がいちばん好きな小説かもしれません。
2021年に岡田准一さん主演、原田眞人さん監督で映画化されています。
Amazonプライムでもみられます。
どうしても映像作品では、物語が早足で進められがちです。
観る前に原作『燃えよ剣』を読んでおくのもおすすめですよ。
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