『生きるよドンどん』ムツゴロウさんが最期に遺したエッセイ集

こんにちは。山内健輔です。

ムツゴロウこと畑正憲さん。
2023年の4月に87歳でお亡くなりになりました。

私は、子供の頃にテレビ番組『ムツゴロウの愉快な仲間たち』を見て育った世代です。
馬や犬たちと暮らしながら、いろいろな国に行って世界の動物たちとたわむれる姿は、今も心に残っています。

私も少年時代、生き物が好きだったせいか、動物たちと心を通わせるムツゴロウさんは憧れの存在でした。

そんなムツゴロウさんがサンデー毎日に寄稿していたエッセイが書籍化されています。

若いときの回顧録がほとんどですが、病気とどのように向き合ってきたのかも語られています。

彼がどのように生きてきたのかが分かる心温まるエッセイ
ハチャメチャな冒険談が多く語られつつも、読後には心温まり、「楽しく生きていいんだよ」と教えられる気がします。

『生きるよドンどん ムツゴロウさんが遺したメッセージ』
畑正憲 著(毎日新聞出版)2023年7月

『生きるよドンどん』ムツゴロウさんが最期に遺したエッセイ集

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生きる力が湧いてくる!

こんな人におすすめ!
楽しく生きたい!
将来に不安があるとき
自分の好きな生き方がしてみたい人

作家、動物研究科、映画監督、ジャーナリスト、雀士……ムツゴロウさんを語るとき、いろいろな職業が思い浮かびます。

ですが、彼はそんな肩書にこだわっていたわけではなく、ましてや人に影響を与えようとしていたわけでもなく、自分の好きなことに打ち込んだだけなのかも、と思わせるようなエッセイです。

海の中の映像を撮ったり、アマゾンの魚を胸に抱いてみたり、自分の興味の赴くままに夢を叶えていく過程が書かれています。

エッセイを読んでいると、仕事というよりも「遊び」に行っている感覚に近い!

ムツゴロウさんのように本人も楽しく過ごしている人をみていると、

「楽しくていいんだ!」

と思えるようになってくるのです。

ムツゴロウさんが楽しく生きた話

動物、仲間、旅、仕事――ムツゴロウさんの珠玉の言葉が詰まったエッセイ集!

「よし。向後、懸命に生きることだ。素朴に、生き生きと。精一杯生き抜こうとすることだ。すると免疫力も高まり、薬などよりよっぽどいいに違いない。生きよう。もっと熱く。私は、そう決心したのだった」

自然と人を愛し、夢を追い続けたムツゴロウさん。本書は、その人生の集大成ともいえるエッセイ集です。少年時代の記憶、家族の絆、旅する喜び、そして動物への深い愛。著者自身によるイラストもたっぷり収録。熱いメッセージが詰まった一冊です。

毎日新聞出版『生きるよドンどん』紹介ページより引用

生きるよドンどん』はどんな本かというと、

  • ムツゴロウさんが晩年に書いたエッセイ
  • さまざまな体験を回顧して語る
  • イラストも味があって良い
  • 楽しく生きた軌跡
  • 短い節に分かれているのでちょっとずつ読める

雑誌に寄稿していたものなので、1つずつの話が短くまとまっています。
ただし、それらに繋がっているので読んでいておもしろいですよ。

もうひとつ私が好きなポイントは、イラスト
文章に関連した、味のある絵でほんわか温かい気持ちで読み進められます。

続けて読んでいると、話が飛んで分かりにくいところもありますが、全体を通すとムツゴロウさんの言いたいことはわかるので大丈夫。

ムツゴロウさんがどんな風にして好きなものにのめり込んでいったかが分かるエピソードが数多く書かれています。
そして、人との出会い、当時では珍しかった映像を撮ることに熱中した時代、好きな生き物に会いに出かけた話、病気になったこと……。

多くの出来事を通してムツゴロウさんの考えていたこと、思いが伝わってくる本です。

楽しい気持ちは伝染する?!

『生きるよドンどん』には、ムツゴロウさんがアマゾンで釣りをしにいく話があります。
アマゾン川でのさまざまな魚のエピソードもおもしろいのですが、ひときわ思い入れのある魚が「ドラード」。

黄金色に輝くきれいな魚で、大きさもかなりのもの、動きも速い。
「ドラードを胸に抱きたい!」という夢を叶える話は印象的でした。

ムツゴロウさんには、ジャーナリストや映画監督、作家、ムツゴロウ王国の経営者などなど多くの肩書があります。
この本を読んで思ったのは、それらの肩書をもつと同時に「冒険家」でもあったということ。

アマゾン川には、危険がいっぱい。
とくにエッセイの中でも触れている「カンディル」という小型のナマズは、人の体内にまで入り込む危険生物。

その危険を知っていながら、アマゾン川に浸かって何時間も動かずに待つ話は、本当にムツゴロウさんらしいエピソードだと感じます。

「なんでそんなことをするの?」と疑問をもつ人もいます。
でも、好きなことを実現するためには「冒険」が必要なのではないかと思うのです。

もちろんムツゴロウさんのように命を懸けてまでとはいいません。
今までの自分よりもちょっとでも困難に立ち向かう。

そうやってムツゴロウさんは自分の力で、楽しい人生にしてきたのかもしれませんね。

『生きるよドンどん』は、好きなことをして、好きなように生きた自由な冒険家の言葉

人生を楽しく生きることの大切さを教えられます。

「愉快な」がピッタリなムツゴロウさん

昔の話を回想しているためか、話が飛んでしまうような箇所もあります。
それがリラックスして、思いつくまま話してくれているようで、ムツゴロウさんっぽくて、本当の姿をみせてくれているようです。

常識とか当たり前にとらわれないで、ときには飛躍をして自分の好きなように生きる!

世の中の影響力のある人って、本当にパワフルです。
夢と行動力でほとんどのことを乗り切ってしまうムツゴロウさん。

私たちに、

「もっと肩の力を抜いて、楽しく生きていいんだよ~!」

と言ってくれているような気がしました。

ムツゴロウさんには、「愉快な」って形容詞が、本当によく似合うと思いました。

最後に。

楽しく生きる姿を見せてくれたムツゴロウさん。
「愉快な仲間たち」って一緒に生きている動物たちのことを指しているのだとばかり思っていました。

ですが、この本を読み終わった後、もしかしたら自分のことを支えてくれていた人々のことも指しているのではないかと思うのです。

ハチャメチャな数々の冒険をしていられたのも、ムツゴロウさんのご家族やお仲間が支えてくれたからなのでしょう。
そんな感謝の気持ちも伝わってくるエッセイでした。

まだ読んでいない人は、ムツゴロウさんの思いをぜひ読んでみてください。

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