こんにちは。山内健輔です。
最初、タイトルを読んだときどんな小説なのか全く想像できませんでした。
孤島小説を探していて出会った本だったので、無人島でのサバイバルの物語だということは分かってはいましたが、まさかこんなストーリー展開になるとは……。
『蠅の王』(はえのおう)
聖書に出てくる「ベルゼブブ」という悪魔を表しているのですが、そのタイトルにどんな意味があるのか。
読んでみたら分かると思い、早速読んでみたのですが。
おもしろいことはおもしろいのですが、小説全体がなにかを暗示しているようでちょっと恐ろしくもある物語なんです。
私が読んだなかでおもしろいかビミョーな部類に入るこの小説。
海外の古い小説なので読みにくい箇所もありますが、人間の本質を垣間見たような印象でした。
今回はそんな『蠅の王』という小説をネタバレなしで紹介していきます。
いくつか翻訳がでていますので、お好みのものを見つけてみてくださいね。
1954年
小説『蝿の王』子どもたちだけで無人島生活は楽しいだけじゃない?!
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子どもたちだけの楽園生活?
物語は、いきなり子どもたちが島に不時着するところから始まります。
最初のうちは綺麗な島の描写と子どもたちのはしゃぐ姿でどんな冒険が始まるのかとワクワク読み進められます。
ですが、途中からなんとなく様子が変わり始め・・・・・・。
名作といわれている『蝿の王』ですが、私はまだ読んだことがありませんでした。
子供だけの孤島生活というと、『十五少年漂流記』も有名ですが、内容は全然違います!
無人島生活にありがちな生活や食事での困窮はほとんど描かれていません。
その代わり、子どもたちの心境や関係性に多くの記述が割かれています。
孤島生活が進むうちに子どもたちの関係性にも変化が現れ、どうなるのかとハラハラすることになりますよ。
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恐ろしい魔物の正体
子どもたちが唯一恐れるのが島にいる魔物。
何人もの子どもたちがその姿を見ているのに、その姿形が全員違うのです。
大きな少年たちはその魔物の正体を暴こうとしますが・・・・・・。
この魔物こそがこの物語、最大のテーマだと推測できます。
私がこの物語を展開させるなら・・・
子どもたちはその繁殖場所を発見するのだが、美しくも儚くもあるその生物に魅入ってしまう。
結果、大人たちにはそのことは秘密にしておく・・・。
みたいなストーリーだったらよかったのになぁ、と妄想してしまいました。
でも、『蠅の王』はそんな生易しい物語ではありません。
もっともっと人間の本質を突いてくるんです。
本当の魔物の正体は、小説を読んでみてのお楽しみ~です。
モノや出来事を「象徴」として描く
この小説は、情景の描写はものすごく多いのが特徴。
その代わり、他の説明は不足している、と思うのです。
もちろん作者の意図であることは推察できますが、それにしても私の読解力ではちょっと難しく感じました。
もともと「蠅の王」とは聖書に出てくるベルゼブブという悪魔のことだというのも、読んだ後に知ったことです。
他にも法螺貝や狼煙、眼鏡、豚の頭、フェイスペインティング……いろいろなアイテムがなにかの象徴、暗示として登場します。
もしかしたら、権威や科学、残酷、野生回帰などかなぁと想像してみたりもしました。
時代背景や思想、宗教も違うので理解しにくいところもあるかもしれません。
海外(イギリス)の古い(1954年)作品です。
この記事の冒頭で「おもしろいか微妙」と言ったのは、今の私の理解力では分かりにくいところも多くあったためでした。
また何年かしてからじっくり読んでみて、どのように感じるのか知りたいと思います。
最後に。
実は、名作小説といわれているだけあって映像化もされています。
1990年ハリー・フック監督による映画化です。
オンデマンドによる配信は「U-NEXT」。
他の配信では見られないようなので、DVDで視聴するのもいいかもしれません。
残酷な描写もあるようなので苦手な人は遠慮しましょう。
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