小説『楽園』(鈴木光司)思いを伝えたい人がいるあなたに読んでほしい!

こんにちは。山内健輔です。

今回は、少し古い作品になりますが、私が今まで読んだなかで、繰り返し何度も読んでいる本を紹介します。

『楽園』鈴木光司 著
2010年2月(角川文庫)352ページ
1995年12月に新潮文庫からも文庫化されています。

あの有名な『リング』『らせん』を書いた作家、鈴木光司さんのデビュー作です。

いろんな意味でスケールの壮大な作品で、初めて読んだときの衝撃と感動は忘れられません。

冒険小説でもあり、ロマンスでもあり、ファンタジーでもあり、時代小説でもある・・・っていうジャンルを超越した物語なんです。
(まぁ、世の中のジャンル分け自体があいまいなものなんですが・・・)

それほど長くなく、物語にも引き込まれやすいので読みやすい作品なので、読んだことがない人はぜひ一度読んでほしい本です。

もちろん、今回もネタバレなしで紹介していきます!

小説『楽園』(鈴木光司)思いを伝えたい人がいるあなたに読んでほしい!

※ご注意
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確認してから購入することをおすすめします。

ゆるぎない気持ちが得られる作品(おすすめの人)

こんなひとにおすすめ!
◯夢をあきらめきれない人
◯元気が出る
◯前に進む勇気がほしい人
◯思いを伝えたい人がいる
◯人類史に興味がある人
私が今まで読んだことのない規模で描かれる壮大なラブストーリーです。
「ラブストーリー」は読みたくない~っていう人もいるかもしれませんね。
でも、単純なラブストーリーではないんです。
内容に触れてしまうので詳しくは書けませんが、冒険要素や人類の移動の歴史、民族文化・・・などなどいろんなスパイスが混ざっている物語といえます。
とくに男女の仲の愛憎の混じったようなストーリーではないので、男性も女性もどんな人でも楽しめる本なんです。
読んだあとは、なんだか勇気が湧いてきて、自分の気持を強くもてるような思いになりました。
どんな人を思いながらこの本を読むのかはあなた次第です。
自分の思いを伝えたい人がいるあなたに読んでほしい作品なんです。

きずなを描くロマンあふれる物語(特徴)

 

 

勇気がでる ★★★★★
感動 ★★★★★
読みやすい ★★★★★

 

この本の特徴は、

  • 冒険・アクション
  • ファンタジー
  • ロマンス・ラブストーリー
  • スケールが壮大
  • 描写が簡潔で読みやすい

1990年の日本ファンタジーノベル大賞の優秀賞にもなった作品です。
描写が簡潔で読みやすいので、話の世界にすぐに引き込まれてしまいます。

ファンタジーな小説ではあるのですが、リアリティは残しつつあるのも特徴のひとつ。
完全なファンタジー小説ともちょっと違う」とでもいうのでしょうか。

とにかく太古の時代から現代まで、モンゴルの砂漠からポリネシア、北アメリカまでを舞台にした壮大なスケールで描かれる物語です。

3つの章からできていますが、それぞれが全く別の短編小説を読んでいる感覚です。
読み終わってみると・・・「全部につながりがある!

とにかく「こんな小説があるのか~」と衝撃を受けた作品でした。

読みやすい本ですが、ページに文字が詰まっているので、読み慣れた人でも8~9時間ぐらいが読了目安です。

のどかな「楽園」の物語かと思いきや(みどころ)

本のタイトルをみて、のどかな楽園を舞台にした小説なんだろうなぁと思って読み始めたら・・・、展開が思わぬ方向へいってしまうではありませんか。

でも、描写がうまく、次の展開が気になるのでどんどんページを進めたくなります。

みどころは、

  • 赤い鹿の精霊の役割
  • 輪廻転生
  • 人類(とくにモンゴロイド)の広がり
  • 民族文化の伝承

詳しく書くとネタバレになってしまうので、書きません!(本当は書きたい!)

私が『楽園』を読んで興味をもったのが、「人類がどうやって広がっていったのか」ってこと。

以前どこかのテレビ番組でみた内容では、「南米の先住民とポリネシア人の古代の石器の作り方が似ている」ことを特集していました。

なんとなく、まだ解明されていないことを想像して説明していくのってワクワクしませんか?
そんなときにこの『楽園』を読んだので、興奮してしまったのを覚えています。

また、ポリネシアの人々の民族の気質や文化にも触れているので、そのあたりも興味深いポイントですよ。

すばらしい作品に出会えた!(感想)

鈴木光司の作品は、遺伝子に関係することを題材に使うことが多いですよね。
このデビュー作『楽園』でも、なんとなくその片鱗がみえます。

遺伝子に「意思」が関係するかどうかは全くわかりませんが、この物語を読んでいるともしかしたらあるんじゃないかとも思ってしまいます。

それはともかく、ストーリーにロマンを感じるだけじゃなくって、人類が世界に広がっていくことと物語がリンクしているのがおもしろいプロット(構成)です。

他にも冒険要素や戦闘シーン、のどかな楽園の場面などみどころはたくさんあります。

文章は叙事的ですべてを説明しないでストーリーを進めるのもうまく、最初はとっつきにくい時代の話なのにすんなりと作品の世界に没入できました。

要約してしまうと非常にシンプルなストーリーではあるのに、読後は不思議と元気勇気が湧いてくるのです。
なんとなくですが、余韻が残っていながらもスッキリできるので、何度も読み返したくなる理由なのかもしれませんね。

きづくことで読者もスッキリ。

鈴木光司作品の多くは、全部を説明せずに読者に「気づかせる」手法をとります。

彼の作品に親しんでいる人はそれで「スッキリ」「アハ体験」を得ることができるのですが、その手法に慣れていないと読みにくいところもあるかもしれません。

私は鈴木光司作品が好きなので、この『楽園』も大好きな小説です。
まだ読んでいない人はすぐに読んでみてほしい作品です。

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