こんにちは。山内健輔です。
ホラー映画で有名な『リングシリーズ』。
原作の小説は、鈴木光司さんの作品です。
映像作品では、井戸やテレビから女性が這い出してくるようなホラーに描かれています。
ですが、小説版ではちょっと違った風味が味わえるストーリーになっているんです。
シリーズは現在6冊が刊行されています。
各冊それぞれで、少しずつ雰囲気もテイストも違っていて、読み始めると後を惹くおもしろさ。
後半になるにつれ、物語も入り組んでいるので、読む順番は守りたいところです。
今回の記事では、『リングシリーズ』の魅力と読む順番を紹介していきましょう。
もちろんネタバレなしです!
(角川ホラー文庫)
小説『リングシリーズ』読み始めたら止まらない!6作品を紹介。
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確認してから購入することをおすすめします。
順番通りに読みたい!
読む順番は基本的に刊行された順番で読むのが正解。
途中から読んでしまうと前作品のネタバレになってしまうどころか、ストーリーを理解できずに終わってしまう可能性があります。
著者の鈴木光司さんは、巧緻なプロット(構成)と論理的なストーリー展開が特徴の作家。
最大限に『リングシリーズ』を楽しむためには順番に読みましょう。
- リング(1991年6月)
- らせん(1995年8月)
- ループ(1998年1月)
- バーズデイ(1999年12月)
- エス(2012年5月)
- タイド(2013年9月)
この順番で読んでおけば、ほぼ問題ありません。
④バースデイは①リング②らせん③ループまでのストーリーを補完した外伝作品です。
⑤エスと⑥タイドは前後しても問題はないようです。
時系列的には⑥タイドが先で、⑤エスという順番。
真夏に一気に読破するのもおすすめといえそうです。
ホラー要素は少なめ?!
『リング』というとホラー映画のイメージが強大なので、恐怖感も強いですよね。
ですが、その原作の小説『リングシリーズ』は、ガチガチな絶叫&パニックの要素は少ない印象です。
(「ない」とは言えませんが。)
「恐怖」というよりも謎解き過程のおもしろさが勝るように感じます。
それでもこのシリーズは「ホラー」といえる作品なんです。
そもそも私が感じる恐怖は、
- 未知の事象・得体の知れないモノ
- 自分や人に対する危険
- そこにあるはずのないものに接触
- 暴力的なモノ
- 将来や喪失に対する不安
ざっと考えてこれぐらいでしょうか。
だいたい恐怖といえるものはこのどれかに分類できるはずです。
リングシリーズには、この全ての要素がストーリーのなかに散りばめられているんです。
そして、ミステリーやサスペンスの要素も加わって、さらに医療ミステリー的な一面へと発展していく奥の深さがあります。
単純に恐怖を味わいたい場合は、やっぱり映像作品のほうがてっとり早いかもしれません。
小説で読むと視覚的・聴覚的恐怖がないぶん、ホラー感は低め。
小説版では、時間的な制約がないので、論理的なストーリーの構築がなされているように感じます。
得体のしれないものへの恐怖というよりも、危機が時間を追って迫ってくる「サスペンス」的な怖さというのでしょうか。
小説では、科学的な要素も深くまで掘り下げられており、少なくともストーリーでの破綻はないといえます。
映像と小説では、別もの作品として楽しめます。
読みだしたら全部読みたくなる。
『リングシリーズ』6作品のなかでいちばんの傑作は、1作目の『リング』。
これを読んだら、どうしても2作目の『らせん』も読みたくなります。
3作目以降は、ファンタジー(空想的)な要素が入ってきており、読む人を選びそう。
『リング』『らせん』『ループ』が主流のストーリーで、4作目『バースデイ』はストーリーを補完する形での短編作品。
この4冊で第1シーズンが完結します。
5作目『エス』、6作目『タイド』では、一度完結した作品のさらなる「その後」として発展させています。
どの作品でも山村貞子(ヤマムラサダコ)なる人物がキーパーソン。
山村貞子視点での箇所はありませんが、全部の作品でほぼ主役として君臨し続けます。
冊数を重ねるごとに、山村貞子の人物像が解明されていきます。
本音を隠さずに言うと、最初の2冊『リング』と『らせん』が傑作なので、その後の作品は後追い的な印象が拭えません。
ただ、最初の2冊を読んだら、全部を読まずにはいられなくなるおもしろさがあるんです。
内容については、触れないことにしますが、どの作品も予想できない展開が続いて、中断せずに一気に読みたくなりますよ。
レビューサイト『リングシリーズ』の評判は?
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壮大なエンターテイメント
全作品を通して、どんな展開になるのか全く予想がつきません。
それでいて、読者を置いてけぼりにしないよう、論理的に解説しながらストーリーを展開する構成は、作者独自の筆致といえるでしょう。
事件解明へのヒントを少しずつ展開していって、登場人物といっしょに解明していくプロットになっています。
かといって、真相まで予想できるものではなく、どの作品のエンディングも予想外で、シリーズのおもしろさはそこにあるといえます。
ホラー・ミステリー・サスペンス・パニック・ファンタジー……どのジャンルの要素も含んでいて、ひとつのカテゴリーでくくるのは難しいです。
私が惹かれたのは、科学ミステリーとしての一面。
もちろん、一連の事件は非科学的な事象なのですが、そこにうまく現代科学の要素を取り込んで説得力のある小説に仕上げているところです。
『リング』単行本が出版されてすでに30年以上も経過している作品ですが、現代のテクノロジーを予期するような設定(ネタバレになりそうなので具体的には触れられないのが残念)にも、驚かされました。
全作品にを通して、共通するのが読了後の「感傷的な気分」。
井戸やテレビから女性が這い出してくるような恐怖ではなく、ストーリーに緊張感がありながらも、読み終わったあとにはなんともいえない感覚が残ります。
とにかく壮大なエンターテイメントな作品なので、一度読んでみることをおすすめします。
①リング
1本のビデオテープから始まる奇怪な物語。
主人公は週刊誌の記者とその友人で、二人が謎に迫っていくミステリー&サスペンス。
ホラー作品ともいえますが、ミステリー色が強い作品で、私が思うシリーズのなかでの最高傑作。
②らせん
『リング』の続編。
監察医が友人を解剖すると、そこには謎のメッセージ。
主人公が事件の渦中へと巻き込まれていく姿を描く物語。
荒唐無稽だと思いつつも、破綻なく紡がれるストーリー展開。
医療ミステリーともいえる作品。
③ループ
1人の医学生の物語。
現代のテクノロジーを予期するような設定に作者の先見を感じる作品。
科学ミステリーと同時に冒険小説の要素も入って、一段とスケールの大きい作品になる。
物語の展開に愛を感じる作品でもある。
この『ループ』で一旦、リングシリーズ第1部の主となるストーリーが完結される。
④バースデイ
『リング』と『らせん』、『ループ』の3部作を補完するような短編3作からなるスピンオフ作品。
ストーリーの本流ではないが、リングの世界観を強固にしたように感じる。
この『バースデイ』までが、リングシリーズの第1部。
⑤エス
リングシリーズの第2章として始まる作品。
主人公の生い立ちとその婚約者の出生の秘密がリング第1章と結びつくところがみどころ。
恐怖体験とミステリー要素が絡み合いながら、徐々に謎が解けていくおもしろさを感じる作品。
⑥タイド
展開にファンタジーな要素が入る、好き嫌いが分かれそうな作品。
伝説と現実と空想と怨念、いろんなものが組み合わさる。
時間軸は、前作『エス』の前になり、お互いのストーリーが補完し合うような構成になっているので、続けて読みたい。
最後に。
鈴木光司作品は、主人公と一緒に謎を解いていく構成になっているものが多い印象です。
そのため、自分で真相を解明していくようなおもしろさがあるのです。
小説『リングシリーズ』は、最初から順番に読まないと内容がややこしくてわかりにくいところがあります。
そのぶん、全部を一気に読み進めると、ストーリーの辻褄が合っていくおもしろさを感じることができるのです。
最初の2作(『リング』『らせん』)だけでも充分に楽しめる作品ですが、全部を一気読みするとより深い感動を味わえるはずですよ。
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