こんにちは。山内健輔です。
柴田哲孝の『神山健介シリーズ』は、私も大好きな作品です。
私立探偵の神山健介がいろいろな難事件を解決していく物語です。
それぞれの小説で全く違うテイストの作品を読んでいるような感覚になります。
なにより主人公の神山健介がかっこいい!
車や音楽、お酒など作者のこだわりポイントも随所にみられて、私たちおじさん世代には親しみやすいのも特徴です。
それぞれ単発でも読むことはできるのですが、「どうせ読むなら全部読みたい!」っていう人は、読む順番が大事になってきます。
シリーズものですが、順番となる番号がふってないので、どれから読んでいいかわかりにくいですよね。
今回の記事では、『神山健介シリーズ』の魅力と読む順番について紹介していきます。
柴田哲孝の『私立探偵神山健介シリーズ』は読む順番が大事。
柴田哲孝の本がおもしろい理由
私が初めて柴田哲孝の作品を読んだのは『TENGU』。
始めから夢中になってしまって、夜更かしして読んだのを覚えています。
柴田哲孝
東京都武蔵野市生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。フリーのカメラマンとして世界を放浪の後、一九八四年「私のサンタよ」(交通タイムス社刊)を発表。文筆活動に入る。一九八六年、八八年にはパリ~ダカールラリーに参戦。八八年はドライバーとして完走。
2006年『下山事件 最後の証言』にて第59回日本推理作家協会賞評論その他の部門を受賞。2006年『TENGU』にて第9回大藪春彦賞を受賞。
代表作に小説「KAPPA」(ソニーマガジンズ刊)、「バラマンディ」(同上)、「ライスシャワー物語」(経済界刊)「伝説のバイプレイヤー」(KKベストセラーズ刊)等がある。一般社団法人 日本推理作家協会 柴田哲孝 ページより引用
柴田作品は、読みやすい文章と万能な主人公が特徴。
フィクションもノンフィクションも書く作家で描写も巧緻で、どんどん話に引き込まれやすいんです。
作品のテーマも「生き物」関連や「災害」、「時代もの」、「競馬」やノンフィクションまで多彩な話題を扱っています。
今回紹介する神山シリーズは、福島県の地方都市に住んだ私立探偵の主人公がいろんな事件に巻き込まれていくもの。
ちょっと大人でクールな主人公が自分の特技を活かして人を助けていくストーリーです。
車やバイク、釣り、酒、キャンプなどオトコゴコロをくすぐる要素も多いので、そういった趣味のある人にもおすすめできます。
柴田作品の全般にいえることですが、
リアリティがありながら、ファンタジーな世界を作り出すハードボイルド!
・・・作品を読んだことがない人は、何をいっているのか分からないですよね。
でも、柴田作品をひと言で表すとこんな感じの表現になってしまうんです。
40代後半のおじさんである私には結構ドンピシャで合った作品ですが、好みは分かれるかも。
まだ柴田作品を読んだことがない人は、ぜひ神山シリーズから読んでみてほしいです。
神山健介シリーズの読む順番
全部読むなら出版された順番に読んでほしいです。
その理由は、
- シリーズを通して登場する人物との関係がおもしろい
- たまに前作品のネタバレが起きる
- 前の作品の人物やアイテムが登場する
(単発で読む場合は、気にしなくても普通に読めます。)
- 渇いた夏 2008年12月
- 早春の化石 2010年4月
- 冬蛾 2011年5月
- 秋霧の街 2012年5月
- 漂流者たち 2013年8月
祥伝社から出版されています。(文庫版は祥伝社文庫)
①から⑤の順番に読んでいくと物語もすんなりわかりやすいですよ。
神山シリーズおすすめの人
◯アウトドアな趣味をもつ人
◯私立探偵ものが好きな人
◯ヒーローな主人公の小説が読みたい
◯ちょいワルに憧れるおじさん
なので、自然や生き物には造詣が深いようでリアルな描写が際立っています。
アウトドアが趣味の人は楽しめるのではないでしょうか。
キザでクール、ハードボイルドな感じの人間味は、オジサン世代の憧れの「ちょいワル」です。
特徴は?
柴田哲孝・『神山シリーズ』の特徴
- 私立探偵
- 主人公がカッコいいヒーロー
- ハードボイルド
- ミステリー
- サスペンス
- 道具にこだわり
- 読みやすい文章
- 万能な主人公
- 男っぽいこだわり
- 一気に読める
ちょっとクセの強い作品かもしれません。
読んでいると北方謙三の作品を思い出します。
ただし!
リアリティでもあり、ファンタジー的要素もあり、ハードボイルドっていう独特の小説なんです。
好みは分かれるかもしれませんが、シリーズを通して読むとハマりますよ。
各作品でいろんなテイストが楽しめる!
神山健介シリーズは、毎回違った雰囲気(設定)の小説になっているのも特徴の一つです。
どうしても同じシリーズだと「マンネリ化」しやすいですが、神山シリーズでは事件や依頼の背景設定が変わってくるんです。
同じ主人公でありながら、違う作者の作品を読んでいるような気分になります。
それでいてシリーズの味を引き継いでいるのでおもしろいんです。
各作品に登場する美しい女性との関わり方についても注目してほしいところです。
渇いた夏
謎の女、遺された母の写真、古い友人たちが登場して、伯父の死と依頼された殺人事件との関連を探っていくストーリー。
ミステリーとサスペンスが楽しめるドラマになりそうな物語。
アウトドアや車が好きな人にもおすすめな作品。
私はこの本を読んで神山シリーズにハマっていきました。
早春の化石
双子でモデルだった姉妹はある男につきまとわれていた事実からストーカー事件を疑われていたが、捜索を続けるうちに意外な背後関係が明らかになっていく・・・。
第2作目の作品ですが、クライマックスには驚かされます。
1作目よりもミステリー度は低く、ハードボイルド濃度が上がる作品です。
冬蛾
吹雪によって閉ざされ陸の孤島となった村は排他的で、思うように調査が進まない。
そんな中でさらなる凄惨な事件に巻き込まれる主人公。
閉ざされた空間で起きる「サイコホラー」的な事件。
横溝正史の世界のような猟奇的な事件の背後を解き明かしていく、またひと味違った風味のストーリーです。
和服姿の女将の役どころに注目したい作品。
秋霧の街
容疑者の背後を追っている先には、ロシアのマフィアの存在が浮かび上がる。
これまた、今までの作品とは全然違った展開で驚かされます。
ミステリーというより、濃厚なハードボイルド色が味わえるのが特徴。
漂流者たち
ひとりの男性の行方を追っていくうちに、被災地域の実情を知る。
被災者、報道、政策、家族、ボランティア、助け合いなど多くの問題提起を行いながら物語が進行する。
ドキュメンタリー風に被災地をレポートしながら、エネルギー政策や震災対応、人々の絆・・・多くのことを考えさせられる作品。
今までの神山シリーズとは、またひと味もふた味も違ったテイストのストーリー。
「おもしろい」というよりは、当時の自分の状況を思い出しながら読み進めました。
心の奥にある、苦いような疼くような感情が呼び起こされるとともに、少し暖かさも感じられる作品です。
最後に。
地方の街で仲間と自然を身近に感じながら、自分の好きなものに囲まれて暮らす・・・私の憧れでもあります。
そんなところが神山健介シリーズを好きになった理由なのかもしれません。
クセが強めの作品のため、実際かなり好みが分かれます。
批判的な意見としては、
- 人間関係血縁がややこしくてわからなくなる
- 終わり方が強引すぎる
- 設定に無理がありすぎ
確かにこれらの意見は的を射ているといえます。
ですが、
「いいんです!」
リアリティのあるハードボイルドな「ファンタジー」と思えば。
なかなかこんな小説を書ける人いないですよ。
私は柴田哲孝作品は好きです。
「主人公がイケてるオジサン」ってことで、意外に女性にもおすすめの作品でもあります。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
P.S.
「地方都市のハードボイルド」のジャンルでは北方謙三作品の「ブラディドールシリーズ」「約束の街シリーズ」が有名です。
どちらもメチャクチャおもしろい小説ですので、読んでみてはいかがでしょうか?
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