『新選組始末記』関係者や遺族の談話で当時のリアルを知る!

こんにちは。山内健輔です。

江戸末期に活躍した新選組は、現代では大人気ですね。
実は私も新選組の大ファンなんです。

人気の理由は昭和以降の新選組を描いた作品の数々。
そこで描かれる新選組隊士たちは強くてカッコいいんです。

それらの作品の多くは、子母澤寛(しもざわかん)の書いた新選組三部作のエピソードを参考にして描かれています。

※新選組三部作
新選組始末記・新選組遺聞・新選組物語の3つの作品
今回紹介する『新選組始末記』は、それら三部作をひとつにまとめた本。
江戸幕府の崩壊から明治・大正を生き残り昭和まで生き残った隊士たちの談話、新選組を知る人々の証言を集めた作品です。
今回の記事では、新選組が好きなら一度は読んでおきたい本『新選組始末記』を紹介します。
新選組始末記関係者や遺族の談話で当時のリアルを知る!
こんな人におすすめ!
◯新選組隊士のファン
◯新選組をもっとよく知りたい。
◯幕末を知りたい。
◯司馬遼太郎ファン・浅田次郎ファン
※ご注意
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。

新選組を知りたい人に最適

『新選組始末記』は大正・昭和を生き残った隊士、新選組に関係した人々、関係者の遺族たちの証言を集めた作品です。

著者の子母澤寛の祖父は彰義隊(戊辰戦争で明治新政府と戦った旧幕府派)の隊士でした。
記者だった子母澤寛はその縁もあって新選組の研究を始めます。

当時生き残っていた新選組隊士や関係者に取材を重ね、昭和3年に刊行したのが『新選組始末記』

その後、『新選組遺聞』『新選組物語』を加えて、新選組三部作といわれるようになります。
これらの作品は実際に関係者に話を聞いた「生の証言」であったため、当時の現実を知る一級品の資料でした。

明治から昭和初期の時代は、まだ倒幕を成し遂げた人々が政府にも残っている時期。
新選組はまだまだ悪者扱いで、資料も少なかったことから子母澤寛の作品は貴重なものだったのです。

のちのクリエイターたちは、新選組三部作のエピソードを多く取り入れて作品を制作しました。

  • 近藤勇のまじめなキャラクター
  • 芹沢鴨の暗殺事件
  • 松原忠司のエピソード
  • 武田観柳斎の粛清(しゅくせい)
  • 谷三十郎の真相
  • 池田屋事件の詳細 などなど

多くの人が知っているエピソードは『新選組始末記』によるところが大きかったのです。

この本で読めるのは、

新選組の基礎知識

新選組について詳しく知りたい人におすすめです。

とはいっても、古い本なので読みにくかったり、詳しい背景が書かれていなかったりもあるので、幕末の知識が多少はあったほうが読みやすいかもしれませんね。

数々の証言と資料から当時を知る

多くの人が証言をしており、どれも興味深いです。
なかでも、私が印象に残ったものを挙げてみましょう。

◯近藤勇五郎の証言
近藤勇五郎は近藤勇(新選組局長)の娘婿。
近藤勇の最後の姿を見たと証言しています。

◯八木為三郎の証言
新選組がまだ壬生(みぶ)に屯所を構えていたころの話。
芹沢鴨(せりざわかも)の暗殺があった夜の出来事や新選組隊士たちの人柄を語っています。

◯稗田利八(ひえだりはち)の証言
池田七三郎という名の隊士で、甲府での戦いから後の出来事について語っています

この他にも聞いたことのあるエピソードがズラリ。

証言だけでなく、手紙や金銭授受の記録、殉節両雄之碑など多くの資料も載せられています。

新選組関連のほかにも清河八郎や坂本龍馬暗殺事件についても書かれているのが印象に残っています。

特徴「史実」でも「小説」でもない?!

特徴としては、「ちょっと読みにくい」ところがあります。
昭和の初期に出版されたので当たり前です。ところどころ漢文や古文風の記述もあります。

難しくて読みにくいところは、読み飛ばしちゃってもOKです。
私も飛ばしちゃってます。

もうひとつはすべてが史実とかぎらないこと。
著者本人も「私は歴史を書くつもりはない」といっていることからも、あくまで取材を通しての証言の記述です。

大正終わりから昭和に取材を受けたと考えると、幕末から50年以上経過している計算になります。

取材を受けた人々の記憶も多少あいまいになってしまうはず。
かといって、子母澤寛の創作ではなくて、本人たちの談話から生まれたものなんです。

どこまでが真実か、どこまでが脚色かわからない!

だから、いろんな作家の方々が独自の視点や想像を作品にする余地が生まれているんです。

有名な『壬生義士伝』(浅田次郎著)や司馬遼太郎作品にも『新選組始末記』のエピソードが多数使われていますね。

本当にいろんなところでエピソードが使われているので、それを探すのもおもしろいですよ。

司馬遼太郎の新選組小説は不朽の名作

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リアルな証言がおもしろい

大正ごろまで生き残った幹部
◯永倉新八
◯斎藤一
◯島田魁
◯篠原泰之進

私がオモシロイと思ったのは「新選組隊士」だった人たちの談話。

それぞれがその立場から当時を思い出す談話を残していて、リアルを感じることができるんです。
現代の私たちから見たら小説の中の主人公たち。

それぞれ立ち位置が異なる人物たちが語る話は多方面から同じ新選組がみられて興味深いです。

名前が違っていたり、現場にいた人物が違っていたりするところも気になってきます。
ただの記憶違いなのか、誰かをかばっているのか、真実を語ることができないのか・・・

その理由を想像するのも新選組ファンの楽しみだったりしますよ。
真実が知りたくて、タイムスリップして見にいけたらなぁ~なんて考えたことのある人は、私だけじゃないはず。

最後に。

新選組始末記は、古いですが書籍だけではなく映画化ドラマ化された映像作品もあります。

UーNEXTでみられるので、本を読んだ人は映像でみるのもおもしろいかもしれませんね。

子母澤寛『新選組始末記』(新選組三部作)はたくさんお新選組作品のもとになったものなので、新選組に興味をもった人は絶対に読んでほしい作品です。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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