名作『宝島』(小説)は大人が読むとハードボイルドな物語。

こんにちは。山内健輔です。

ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説宝島』。私が中学生のころワクワクしながら読んだ小説です。

ひょんなことで知り合った海賊から手に入れた宝の地図。
仲間を集めて宝探しの冒険に旅立つお話です。

子供のころはそんな冒険を夢見ながら読んでいただけでした。
でも!

大人になって読み返してみるといろんな要素が含まれていて、まるで現代の社会の縮図を描いているような物語だったんです。

児童小説であり、冒険小説でもあるスティーブンソンの『宝島』。

主人公の少年は宿屋の息子ジム・ホーキンス
大酒飲みの船乗りビリー・ボーン
伝説の海賊キャプテン・フリント
癇癪もちの名主トレローニ
誠実な人柄のリヴシー
片足のコック、シルヴァー
置き去りにされた海賊ベン・ガン

クセのある人物たちが続々と登場してきます。
どの人物も毒はあるけど完全には憎めない者ばかり

そんな男たちが宝の眠る島「骸骨島」(がいこつとう)に出発します。

今回もネタバレなしで紹介していきます。

名作『宝島』(小説)は大人が読むとハードボイルドな物語。

※ご注意
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。

本の紹介とおすすめの人

こんな人におすすめ!
◯冒険小説好き
◯名作を読んでみたい人
◯サバイバル小説好き
◯映画『グーニーズ』っぽいものが読みたい人
◯ドキドキの心理戦を楽しみたい人
◯ハードボイルド小説が好きな人

イギリス(スコットランド)の作家、ロバート・ルイス・スティーヴンソン1883年に書いた小説。
映画やドラマも数多く作られている名作です。

いろんな人に翻訳されています。
翻訳によって読みやすい読みにくいがあるので、試し読みできるものがあったら、パラパラとめくってみるといいですね。

外国語で書かれた本は、翻訳されると一文が長くなって読みづらいことが多いです。
ですが、この本は児童向きに書かれているためか、しばらく読んでいるうちに慣れてくるので大丈夫。

『宝島』はスティーヴンソンが自分の息子のために書いた物語。
宝の地図を手にした少年が財宝を求めて大海原を冒険していく「海洋冒険小説」です。

というと、子供向けの本に思えますよね?
でも、そうとも言い切れないのです。

ハードボイルド

大人になって読んでみたら意外とスリルのあるハードボイルド的な小説だったんです。

「何を言っているんだ!?」と怒られそうですね。
まぁ、詳しい人からみると、厳密には「ハードボイルド」とはいえないのかもしれません。
でも、なんとなく暴力的な描写だったり、反道徳的な言動だったりが随所にみられます。

〈小説『宝島』をハードボイルド作家が書いてみた~〉みたいな視点で読む。
大人になると子どもにはなかった視点でも読めるので、一度読んだことのある人でも再読してみてほしいのです。




安心してください。

もちろんハードボイルドが苦手な人でも読めますよ。

子どものころに『グーニーズ』という映画を見て心に残った記憶があります。
小説『宝島』もそんな世界観です。

グーニーズを見た私たち世代の人にはイメージがつきやすいでしょうか。

意外と奥深い心理戦が楽しめた!

登場する人物たちもみんな魅力的。

おっかない船乗り・伝説の海賊・虎の威をかるオウム・優しい医者・・・。

特徴的なキャラクターが登場して、話を「ややこしく」していきます。

読み進めていくうちにあることに気づきました。

「現実社会みたい?!」

  • 価値観や人間性の多様性
  • 誰が敵なのか味方なのか分からない。
  • 物資(資源)が少ないと奪い合う。
  • 財宝を目の前にすると平気で裏切る。
  • ワナがある。

主人公ジム・ホーキンスの大冒険が、「現代社会の荒波に立ち向かう私たちに似ているんじゃないか」と思ったのです。
冒険船ヒスパニオーラ号と骸骨島で繰り広げられる出来事が社会の縮図のように思えてきました。

まぁ、そこまでは考えすぎとして、誰が仲間なのか?財宝はあるのか?などなど。
読んだ人がそれぞれの見方で楽しめる作品です。

最後に

私が初めてこの作品を読んだのが中学生のころなので、もう30年以上も昔。
そのときには、主人公の少年の無鉄砲な行動力に感嘆し、ストーリー展開にドキドキ、宝探しにワクワクした記憶があります。

大人になって読み返してみると、ずいぶん見方が変わっていて違う物語を読んだような感覚です。
もうひとつ思い出したことは、中学生のころの自分。

ストーリーはすっかり忘れてしまっていても、青春時代に感じていた未知へのあこがれや夢を思い出します。

スティーヴンソンの『宝島』は、大人が読むとハードボイルドっぽくて、ちょっぴり感傷的になるエンターテイメント。

無理に教訓や学びをこじつけなくていいのです。
自分が少年のころもっていた無鉄砲さや行動力、憧れ、夢を思い出させる作品でした。

P.S
ちなみに日本にも「宝島」があります。
鹿児島県のトカラ列島のいちばん南にある島で、形はなんとハート型
ちょっと行ってみたいですね。

スティーヴンソンの宝島は「ガイコツ」です(笑)

関連記事

この記事を読んだ方には『ロビンソン・クルーソー』もおすすめ
関連記事

こんにちは。山内健輔です。 子供の頃に読んだ名作『ロビンソン・クルーソー』。 私が中学生のころ、昼休み学校の図書室に何日も通って夢中になった本です。 無人島に流れ着いて、独りで生活していく物語です。 今から300年以上も[…]

日本に実在したロビンソン・クルーソーは江戸時代土佐の船乗り
『漂流』吉村昭。江戸時代の実話をもとにしたドキュメンタリー小説