カブトムシの生態を謎解き!大人も楽しい本『カブトムシの謎をとく』

こんにちは。山内健輔です。

カブトムシは子供から大人まで大人気の昆虫です。
初夏になるといろんな場所で売られていたり、ちょっと自然の多い場所では野外で採集できたりしますね。

日本のカブトムシは、ヒトの生活と関わりが深いせいか、昔から親しまれてきました。
地方の山の中にしか生息していないと思われがちですが、意外と都市部の公園でも目撃情報が多いんです。
夏になるとその目撃された場所に子どもたちがたくさん採集に集まってきます。

そんな人気で身近なカブトムシですが、意外に生態がわかっていないことも多いんです。
とくに幼虫はほとんどの期間、土の中に潜っていることもあってわからないことだらけ。

今回は「カブトムシ研究」で有名な小島渉先生の本『カブトムシの謎をとく』を紹介します。

カブトムシの生態を謎解き!大人も楽しい本『カブトムシの謎をとく』

こんな人におすすめ
◯カブトムシ好き・飼育している
◯科学者になりたい
◯小学生ぐらいまでの子供がいるお父さん・お母さん
◯昆虫に興味がある
◯子供の人気がほしい
※ご注意
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。

『カブトムシの謎をとく』はカブトムシの生態の謎解きの本

『カブトムシの謎をとく』はその名の通り、カブトムシの生態に関する謎を解いていく本です。
カブトムシの生態を研究している山口大学の小島渉先生が書いています。

小島 渉
コジマ ワタル

小島 渉(こじま・わたる):1985年生まれ。2013年に東京大学大学院農学生命科学研究科で博士(農学)を取得。その後、日本学術振興会特別研究員を経て、現在、山口大学理学部講師。著書に『わたしのカブトムシ研究』(さえら書房)、『不思議だらけカブトムシ図鑑』(彩図社)がある。
筑摩書房(著者情報小島渉)より引用

内容はもちろんカブトムシの生態にまつわる話。
カブトムシの大きさや幼虫、活動時間など興味深い内容になっています。

読みやすい文体で書かれているので、小学生高学年ぐらいから大人まで楽しい本です。
むしろ大人の方がハマってしまうかも。
章や節が細かく区切られているため通勤や通学の電車のなかでも読みやすくなっています。

仮説をたてる、実験をする、それを分析・検証をすること。日頃の何気ない観察が「科学」「研究」へと昇華していく方法も知ることができるので、科学者になりたいお子さんにも読んでほしい本ですね。

勉強になる ★★★★★
子供と楽しめる ★★★★★
雑学が増える ★★★★★

目次
第1章 カブトムシ研究者への道
第2章 カブトムシはどんな昆虫?
第3章 幼虫のくらし
第4章 カブトムシを食べたのは誰?
第5章 活動時間をめぐる謎
第6章 カブトムシの生態の地域変異
第7章 昆虫はどのように天敵から身を守るのか

『カブトムシの謎をとく』筑摩書房より引用

出版日:2023年8月3日
出版社:筑摩書房

「科学」は「謎解き」のミステリー

興味深いのは虫好きの小学生といっしょに論文を書いたところ。
夜行性と信じられてきたカブトムシが昼間も自宅のシマトネリコ(熱帯地方に生息する常緑樹)に集まっていることを疑問に思った小学生の手紙から謎解きがはじまります。
さらに野外でカブトムシの生態を調査中にスズメバチと遭遇。

それらの出来事からカブトムシの活動時間に関する謎を解き明かしていくストーリー性が「ミステリー小説」を読んでいるようで、おもしろいんです。

興味をもったこと

  • 卵の大きさを調べるために行った実験方法
  • 地域(緯度)によって成長速度が異なる幼虫
  • カブトムシの天敵
  • 昆虫の擬態(違う種に外見を似せる)と外殻(外側の皮膚)のかたさ

『カブトムシの謎をとく』では生態の謎を解き明かす過程が詳細に綴られてます。
カブトムシの生態を知るだけでも充分楽しめます。

それだけでなく、実験方法や苦労したこと、データ分析の楽しみなど研究に関することも包み隠さず書かれていて、研究者の道を志す人にとってはいい情報です。

とくに私が興味をもったのは、終盤に書かれている「昆虫の擬態」に関する研究。
鳥にも造詣が深い小島先生ならではの実験でおもしろかったです。

あなたも研究者になれる!

ファーブル昆虫記を読んだことがある人はわかるかもしれませんが、科学には優れた知能というよりも「根気」が必要なのかもしれません。
根気強く観察と記録を繰り返すことで、「気づき」が生じるんですね。

「気づき」をつなぎ合わせて「発見」に導く過程は最近、流行っている「謎解き」に似ていると思いませんか?

興味

観察・記録

気づき

実験

検証・分析

発見!

『カブトムシの謎をとく』のなかでも、趣味でカブトムシをブリード(繁殖させること)している人のノウハウが発見になった事例も紹介されています。

紹介された小学生の気づきの事例もそうですが、高価な道具や予算がなくても科学誌に論文を発表できる!ってことを教えてくれる本です。

身近に飼育できるカブトムシの魅力

飼育しているカブトムシ。毎年たくさんのカブトムシが羽化する。

実は私もカブトムシを飼育しています。
大きめの衣装ケース4箱に30頭ずつぐらい。(もっと多い時期もありました!)

もらったり、採集したものが増えてしまったんです。
苦労しながらもなんとか崩壊させずに飼育しています。

毎年たくさん産まれるので、知り合いの子どもたちにもらってもらうこともしばしば。

そのせいか、周囲の人からカブトムシに関する質問をよくされます。
多いのが子供がカブトムシを飼い始めたけど世話をしない。→どうやるの~?
(結果的に大人のほうがカブトムシやクワガタにハマってしまうことも!)

なので、カブトムシについての本は楽しくてしょうがないんです。
わが家のカブトムシは現在のところ幼虫ですが、『カブトムシの謎をとく』を読んでしまったら、成虫が恋しくなってしまいました。

雑木林のフィールドにも行きたくなります。

もしかしたらこの本を読んだあなたもカブトムシを飼育したくなるかもしれませんね。

最後に

カブトムシの正面。樹液を舐め取る口が見えやすい。

『カブトムシの謎をとく』は、カブトムシの生態について書かれています。
カブトムシに興味があって、知りたいことがある人にはピッタリの本です。

でも、読む人によっては、「謎解きミステリー」だったり、「研究のやり方」だったり、「雑学」だったり・・・。

いろんな視点で読める本です。
読破までの時間も本を読み慣れた人なら2~3時間。

カブトムシの知見を深めたい人だけじゃなく、知識を広げたい人にとってもおもしろい本だと思います。

ぜひ、続編も期待したいですね。

できれば、小島渉先生が書いている2019年に刊行された『不思議だらけのカブトムシ図鑑』もいっしょに読むと、カブトムシについてもっと深く知ることができますよ!

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