こんにちは。山内健輔です。
昆虫界でのいちばん人気はやっぱりカブトムシ。
ひと昔前には、「ムシキング」というゲームが流行しましたが、現在でもカブトムシは根強い人気を保っています。
カブトムシに詳しい大人は、子どもも憧れの存在。
ムシキング世代もそうでない人もカブトムシに詳しくなって、子どもたちのヒーローになってみませんか?
そんなときにピッタリの本を紹介します。
2019年6月 (彩図社) 239ページ
分かりやすいので、子どもでも小学校高学年以上なら簡単に読めるはずですよ。
カブトムシ好きならこの本は外せない!『不思議だらけカブトムシ図鑑』
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。
カブトムシに詳しい人気者になりたいあなたに!
◯カブトムシ好き
◯昆虫少年・少女の親
◯子どもの心を忘れない人
◯子どもの人気者になりたい人
子どもに人気のあるカブトムシの生態を解明していく本です。
大人も子どもも楽しみながら、読むことができます。
日本人にとってなじみの深いカブトムシ。昆虫の王として、子どもから大人まで多くの人を虜にし続けている。だが、意外なことに研究はほとんど進んでおらず、人気の割に謎が多い。
そんな謎に満ちた昆虫の生態を、カブトムシ研究者である筆者が、最新の研究成果を紹介しながら解説。カブトムシを狙う天敵やオスの喧嘩の意外なルール、蛹が振動する理由、幼虫が互いに引き寄せ合う謎など、カブトムシファン必見の情報が満載。イラストは「ゆるふわ昆虫図鑑」のじゅえき太郎氏。カブトムシの魅力と人間との関係がわかる一冊。
彩図社『不思議だらけカブトムシ図鑑』紹介ページより引用
人気の秘密であるカブトムシの角(ツノ)に関する考察や実験は、理にかなっていて納得のいくものだし、今まで解明されていなかった幼虫の習性に関しても興味深い内容でした。
日本のカブトムシ(ヤマトカブトムシ)を知りたかったら、この本!
カブトムシに興味がある人はもちろん、子どもが虫好きの親御さん、カブトムシの知識を身に着けたい人にもピッタリの一冊ですよ。
生態を解き明かす研究の入門書
『不思議だらけカブトムシ図鑑』の特徴は、
- カブトムシの習性を解明していく
- 研究のしかたも分かる
- 子ども(小学生高学年以上)が対象
- 理解しやすい論理展開
- 写真は少なめ
- 図やイラスト(じゅえき太郎さん)が良い
- 各章のコラムもおもしろい
- 字が大きめの233ページ。大人なら3~4時間
- 値段が安い(¥1,100)
丁寧に仮説と検証の方法も記述されていて、研究のやりかたがよく分かります。
少年のころに読んだ『ファーブル昆虫記』を思い出しました。
難しい言葉はきちんと解説されていて、カブトムシに詳しくない人でも、子どもでも非常に読みやすい本です。
とくに実験の方法やイラストが図解されているのと、論理的に説明されるので理解しやすいのも特徴のひとつ。
ただし、本のタイトルに「図鑑」とありますが、写真は少なくモノクロ(白黒)。
図鑑というよりも「事典」と思ったほうがいいかもしれませんね。
各章の最後にはコラムがあって、ちょっとした知識を得るのにも役立ちます。
夢中になって読んでしまえば3~4時間で読めてしまいますよ。
(情報量は多め。読み応えもあり!)
仮説と実証を繰り返す地道な研究
日頃の観察から生じた疑問から仮説を立てて、実験によって検証していき、その結果を考察する過程が細かく書かれています。
実験の過程は地味そのもの。
言葉で表すと一行で終わってしまうものも、地道な研究によって明らかになるんですね。
- カブトムシの角(ツノ)に関する実験
- 幼虫の習性に関する研究
- 地域によって変わる卵の大きさや成長の速さ
などなど。
おもしろい研究が最初から最後まで詰まっています。
私たち(私もカブトムシを飼育しています)が飼育して、経験的になんとなく感じていたことも、著者の小島先生によって科学的に実証されていく過程は読んでいてワクワクするものでした。
また、単に飼育していただけでは分からなかったことも、この本で知ることができます。
とくに観察するのが難しい幼虫や蛹、卵に関する部分は知的好奇心を刺激される内容になっていました。
人間が作った雑木林。
ヒトの生活によって大きく成長できたカブトムシですが、深夜には熾烈な生存競争が繰り広げられています。
大きくて強いものが生存に有利と思われがちですが、『不思議だらけカブトムシ図鑑』によるとそうでもない……。
そんなカブトムシの不思議を知ってみたくなった人は読んでみましょう!
間違いなく大人も楽しめる本
カブトムシの本というと子供向けのもうすでに知っていることばかりが書かれている本が多いですよね。
でもこの『不思議だらけカブトムシ図鑑』では、全く知らなかったことや知っていても「なんとなく」だったことを科学的に検証しています。
それはともかく、こんなに身近で親しまれてきた昆虫でもわかっていないことがたくさんあるんですね。
人気はあるのに、害虫でも益虫でもないので今まであまり研究されてこなかったのです。
研究にはお金がかかります。
その研究費用が豊富に使えなかったというのが実情のようです。
とくに「ルーツ」や「分類」、「遺伝子解析」については、まだまだこれからの研究が期待されています。
私たちがカブトムシの本をたくさん読むことが、こういった研究の助けになるのかもしれません。
カブトムシ好きなら『不思議だらけカブトムシ図鑑』は外せないでしょう。
知っていることも知らなかったこともカブトムシを飼育したことがある人なら、興味深く読むことができるはずです。
私は、この本がおもしろくて、2時間ほどで読み終えてしまいました。
最後に。
私もカブトムシを長年飼育してきて、毎年たくさん繁殖しています。
そのカブトムシを小さなお子さんにあげたりしているので、飼育に関する質問を受けたりすることがあるんです。
そんなときに役立ったのがこの『不思議だらけカブトムシ図鑑』。
おもしろくって、すぐに読めるので買って損はないので、おすすめしています。
小島渉先生は他にもカブトムシの本を出していて、どれも大人が読んでおもしろい本なんです。
最近では、『カブトムシの謎をとく』(筑摩書房)が出版されています。
こちらも興味深い話がたくさん掲載されているのでおすすめです。
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