こんにちは。山内健輔です。
「生物」という授業は、中学校や高校であったにも関わらず、ほとんど記憶に残っていない人も多いのではないでしょうか。
細胞の話から始まって、単細胞生物、多細胞生物、藻類やシダ植物、魚類や両生類……。
覚えているのはその程度。
大人になった今では、基礎的な内容を限られた時間で学習しなければならない事情もよく理解できるので、仕方のないことだったのはわかります。
ですが、生き物好きだった私には、「生物」というからには、いろんな生き物の生態とか習性を学べるものだと不満に思っていました。
さらに時が経って、「オヤジ」になった私は、いつの間にか読書が好きになり、いろんな本を読むようになりました。
そうすると、いままで勉強して得た不十分な知識では、本で著者が「本当に伝えたいこと」を理解できているのか不安になってきたのです。
そんなときに出会ったのがこの本。
ダイヤモンド社(2019年11月)
「若い読者に贈る」とありますが、必ずしも年齢のことを言っているのではなく、あくまで「意識」の話。
私も年齢でいうともう若くはありませんが、最近なんだか知的好奇心というか知識への欲求が増してきているように感じるんです。
そんな私のような、もう一度学生時代に戻って学習をやり直してみたいと考える人におすすめの本です。
「生物学」に興味のない人でも、こんな話があるよ~というような読み物にもなっていて、科学の「生物」についてのイントロダクションのような内容です。
「生き物」についてもう一度学び直したい?!『美しい生物学講義』
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。
知的好奇心を持ち続けたいあなたへ
◯生物学に興味がある
◯理系が苦手な人!
◯大人になっても好奇心を持ち続けたい人
◯生物についてもっと知りたい!
◯基礎的なことを学び直したい人
◯「生物」が苦手な学生
内容的には、学生時代に「生物」の授業で習ったことをわかりやすい例え話で理解しやすくしているもの。
ただし、学生時代の偏差値をなくしてしまっている私には、ちょっと難しい話も4つほどありました。
文章が優しく、謙虚な口調で書かれているので、私が勝手に「簡単」と考えてしまった部分はあります。
確かにどこにも「簡単」とか「わかりやすい」とかは書いてありません。
そこは、読む側の責任です。
ただし、学生時代の偏差値をほとんど使い切ってしまっている私にも、大部分が理解できる内容でした。
この本を読むことによって、わかったところ、わからなかったところが浮き彫りになり、もう一度学生時代の勉強をやり直してみたくなったのです。
とくに生き物好きを自称する私にとっては、この「生物」の分野の本もよく読みます。
勉強や知識への欲求が高まるのを感じました。
理系の人には、もしかしたらわかりやすいかもしれません。
ですが、本当におすすめしたいのは、むしろ理系を苦手と考えている人。
この本では、一見、難しい話を噛み砕いてわかりやすい例え話にして説明しています。
生物を苦手と考えている人にこそ読んでほしい書籍だと感じます。
さまざまなトピックをわかりやすく解説
生物とは何か、生物のシンギュラリティ、動く植物、大きな欠点のある人類の歩き方、遺伝のしくみ、がんは進化する、一気飲みしてはいけない、花粉症はなぜ起きる、IPS細胞とは何か・・・。最新の知見を親切に、ユーモアたっぷりに、ロマンティックに語る。あなたの想像をはるかに超える生物学講義!全世代必読の一冊!!
ダイヤモンド社『若い読者に贈る美しい生物学講義』内容紹介ページから引用
『美しい生物学講義』の特徴
- 生物に関するトピックを概要として紹介
- 例え話・文章がわかりやすく読みやすい
- 難しめの専門的内容もあり。
- 詳しくない人にも興味を引きながら解説
- 生物学の入門者・初心者にも最適
- 押し付けがましくなく、公平・謙虚な姿勢で解説してくれる
- 生物を多角的に見直す視点を養える
- イラスト・図解もある
学問的・科学的なことを噛み砕いて、わかりやすく解説してくれる本書は、さまざまな生物に関する話題を紹介しています。
なので、本格的な生物学を学ぶものではありませんが、生物関連のトピックを学んでいく人にとってはありがたい知識を得られる書籍です。
何よりも、好感がもてるのが、まず科学は「100%正しいとは限らない」という前提で解説しているところ。
だから、どの「結論」を紹介するのも、理由と根拠をもとに解説しているけれども「謙虚」な姿勢が感じられるんです。
古い学者の今では正しくないことが証明されている説においても、時代背景や当時の科学を説明することで決して批判はしない!
なので、現代で正しいと言われていることも決して感情的に押し付けることはしないのです。
そういう論調で話が進んでいくので、読んでいる私たちも素直に頭に入ってくるから不思議。
「学生時代の生物の授業がこの先生が担当だったらなぁ」
と思わずにいられませんでした。
難しい箇所もあるけどおもしろい!
初心者向けに書かれている本ではありますが、読んでいるうちにだいぶ「専門的」な内容になってきます。
学習をするときは、その「学科の全体像を把握することが大事」とよくいわれます。
『美しい生物学講義』は、生物学全体でどのようなことを学ぶのかを知るのに最適だといえます。
イントロダクション(紹介・導入)なので、わからない部分は飛ばして読んでも大丈夫。
興味を持ったところを掘り下げていけばいいのではないでしょうか。
私が興味をもった部分を厳選すると、
- 進化は優劣ではなく、環境に「適応」しただけ。
- 人類は「分け合える」ために繁栄している
- どんな生物にも美しさがある
1つひとつのトピックに関するページ数は多くなく、その分多くのトピックが扱われています。
本当に「講義」として、少しずつ読み進めていくのも良いし、「読み物」として一気読みするのもありです。
きっと読み終わったあとに、読んでよかったと思える書籍ですよ。
生物の「美しい」を感じられる自分になれるかも
この本を読むまでは、
「100%正しいものが科学」
だと思っていました。
ですが、絶対はなく、その100%に限りなく近づいていこうとするのが「科学」だと解説されていたことに感銘を受けました。
こうした謙虚な姿勢で科学を教えられると、今まで全く興味を持てなかった「膜」とか「分子の移動」とかの話題にも少しずつ身近に感じられ、学ぼうという気持ちが喚起されたように感じます。
本のタイトル「美しい~」という部分は、巻末にある「おわりに」を読むと納得。
この本の内容は、知らなくても生きていける話ばかりですが、知っておくことで生き物に対して今までよりももっとやさしくなれるような気がしました。
(科学の話は哲学的!)
難しい話も多くありますが、もう少しレベルアップした後、再チャレンジしてみたいですね。
今まで簡単にあまり考えずに読める本を多く読んできたので、久しぶりに脳に負荷をかけながら読書をしました。
もう一度「生物学」を学び直したくなる一冊になりました。
最後に。
今まで、学術的な本は、脳に負荷をかけるので避ける傾向にありました。
ですが、読んでみると新しいこと、忘れていたことを知る喜び、知的好奇心を思い出すことになったのです。
生物について詳しくても詳しくなくても、好きでも嫌いでも一度読んでみることをおすすめします。
実は、読んだあとに気づいたのですが、この本の著者・更科功さんの『絶滅の人類史』を読了していました。
調べてみると「人類史」についての本を多数出版されている様子。
確かに『絶滅の人類史』もかなり興味が湧く本でした。
これから他の著作にも手を出してしまおうと画策しています。
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