小説『生活安全課0係シリーズ』コミカルなかけ合いでライトに楽しむ!

こんにちは。山内健輔です。

富樫倫太郎の警察小説といえば『SROシリーズ』が有名ですが、もうひとつ見逃せないのが『生活安全課0係シリーズ』

『SROシリーズ』はシリアスな展開で息をつかせないストーリーがみどころですが、こちらはコミカルな登場人物どうしの会話がみどころ。

発生する事件も身近なものから難事件まで幅広く、まさに「生活安全課」ならではのものが多いのが特徴。

主人公である小早川冬彦は、天才的な頭脳の持ち主ですがKY(空気が読めない)な面も合わせもっています。

ただし、本人に悪気は全くないので憎めないどころか、愛されキャラとして作品が楽しめます。

事件の構図も複雑すぎず、小早川警部がみるみるうちに解決していくのでテンポよく読み進められるんです。

読み手にも推理しやすい題材を与えられて、一緒に謎を解き明かす気持ちになれて非常に読みやすい小説です。

今回の記事では『生活安全課0係シリーズ』ネタバレなしで紹介していきます。

『生活安全課0係シリーズ』富樫倫太郎
(祥伝社文庫)

小説『生活安全課0係シリーズ』コミカルなかけ合いでライトに楽しむ!

※ご注意
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確認してから購入することをおすすめします。

破天荒な刑事が活躍する警察小説シリーズ

こんな人におすすめ!
◯テレビドラマの原作が読みたい!
◯天才が解決する警察小説を読みたい
◯破天荒な刑事が登場する小説が好き
◯難しすぎない推理小説が読みたい

東大卒で、国家公務員試験をトップクラスの成績で合格したキャリアである小早川冬彦。
科警研での勤務から事件現場への転勤を望んだ小早川が、杉並中央警察署の生活安全課へ配属されるところから始まるストーリー。

同じく人気の『SROシリーズ』は、シリアスな事件でミステリーというよりも、ドキドキハラハラなサスペンス要素が強い作品。
比べてこの『生活安全課0係シリーズ』は、ミステリー要素が強い推理小説。

しかも、手の込んだ謎解きではなく、天才刑事が次々に事件を解決していくテンポのいいストーリー展開が特徴です。
生活安全課の「なんでも相談室」が舞台なので、身近な事件からシリアスな真相の事件まで守備範囲も幅広い。

作者の富樫倫太郎作品は、丁寧で優しい状況描写が特徴です。
なので、読書家の人には、説明がくどいと思われがちですが、本を読み慣れない人でも、物語を想像しやすいので読みやすい!

難しすぎないので読みやすい!

  • KY(空気読めない)な刑事だが、憎めないキャラ
  • だんだんおもしろくなるストーリー
  • 登場人物のかけ合いがコミカル
  • 複数の事件が同時進行する
  • ミステリー主体の推理小説
  • 事件が複雑すぎないので推理しやすい

特徴はこんな感じですが、次々と事件が解決していく(たまに解決か?というものもありますが)ので、軽快にページをめくることができるのが特徴です。

登場するキャラもそれぞれ個性的。
最初は、それぞれどんな性格なのかわからないので手探り感がありますが、読んでいくうちに全員に愛着が湧いてくるのが不思議です。

とくに、3作目の『バタフライ』では、主人公以外の脇役たちに焦点をあてたオムニバス形式(連作短編)になっているので、それぞれの人物の背景も理解できるようになります。

富樫倫太郎さんの小説は、背景や真相を丁寧に説明してくれるので、ストーリーがわかりやすくて読みやすい特徴があります。

刊行順に読みたい!

刊行順は以下の通り。

  1. ファイヤーボール
  2. ヘッドゲーム
  3. バタフライ
  4. スローダンサー
  5. エンジェルダスター
  6. ブレイクアウト

現在、刊行されている『生活安全課0係シリーズ』は全部で6冊
③『バタフライ』は連作短編になっていて、主人公を含めた登場人物たちの家族やバックグラウンドを描いている小説です。
読み飛ばしてもストーリーの理解に影響はほとんどありませんが、せっかくなので一緒に読みたい作品です。
『バタフライ』を読むことでなぜか全員に愛着をもてるようになりますよ。

読む順番は、刊行順がベスト。
ただし、順番を間違えてしまってもそれほどストーリー理解に苦しむことはないはずです。

全部読んだあとは、『小早川冬彦シリーズ第2部』(シーズン2)となる続編『警視庁0係シリーズ』(特命捜査対策室)が出版されています。
長く楽しめそうなシリーズになりそうですよ。

コミカルで痛快に解決するストーリー

会話と物語進行のテンポがいい小説です。
主人公の小早川警部が、それほど苦もなく次々に事件の真相を突き止めていきます。

事件の内容はたまに重大な事件に遭遇することもありますが、主人公たちが被害者に感情移入しすぎないので軽めに読み進められます。
また、登場する主人公も常人離れしていることもあって、リアルすぎない。
このために、読んでいるのがつらくならないんです。

また、適度にコミカルな会話や他作品の情報も入れ込んでくるので、読み手を飽きさせない工夫もあります。
富樫倫太郎の警察小説に比べて、「ライトな」(軽めの)部類といっていいので、たくさん読書する人には「箸休め」的に読んでみてもいいかもしれませんね。

読後感も全く悪くないですよ。


最後に。

小泉孝太郎さん主演でテレビドラマとしても人気です。
映像作品としてみるのもおもしろいかもしれませんね。

また、第2部として『警視庁ゼロ係シリーズ』も続いています。
主人公、小早川冬彦が警視庁本庁の他部署に配属されるところから物語が始まります。
こちらも続けて、一気に読むと楽しさ倍増ですよ。

続編の新シリーズ『警視庁ゼロ係シリーズ』

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