こんにちは。山内健輔です。
富樫倫太郎のSROシリーズは、2009年にⅠ巻(警視庁広域捜査専任特別調査室)が刊行されてから10年以上に渡って人気の警察小説です。
2024年現在出版されているのは全部で10冊。
(続編の新シリーズ『SROneoシリーズ』が2024年1月に出版されている!)
2013年にはテレビドラマ化されて話題を集めました。
私も大好きな小説で、新刊が出るたびに最初から読み直しているほどです。
(シリーズものはどうしても続けて読みたいので……)
多少、残酷な描写や暴力シーンも描かれてはいますが、しつこさはないので全体的に読みやすい警察小説(刑事モノ)です。
登場人物たちの個性がうまく描かれていて、読めば読むほど愛着が湧いてきます。
シリーズを重ねるごとにハマっていく『SROシリーズ』。
1度は読んでみてほしいシリーズなんです。
ということで、ネタバレなしで紹介していきましょう。
富樫倫太郎 著 2009年~2022年(中公文庫)
『SROシリーズ』富樫倫太郎の大人気警察小説。10冊と読む順番
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。
読みごたえのある警察小説
◯新しい警察小説を探している
◯読み応えのあるシリーズものを読みたい
◯富樫倫太郎ファン
◯飽きない刑事シリーズを読みたい
※残酷描写あり。苦手な人はやめておきましょう。
SROは「警視庁広域捜査専任特別調査室」を略した名称。
アメリカにあるFBI(連邦捜査局)のような組織を日本にも作る目的で結成されたという設定です。
シリーズは10冊出版されていますが、それぞれの事件は1巻ごとで独立した形をとります。
そのなかで、シリーズを通した事件も展開していくストーリー。
(毎週テレビでやる刑事ドラマのような形がイメージしやすいかも)
最新の手法で凶悪犯人を追い詰める一方で、SROチームのメンバーもいろいろな事情で追い詰められていくハラハラドキドキの展開がおもしろいシリーズ。
SROメンバーは全員華々しい経歴(エリート&キャリア組)をもつ一方で、ワケありの事情が見え隠れします。
それに加えて、シリーズを通しての凶悪犯のキャラがすごい!
ある意味、無敵のダークヒーローを作り上げて、影の主人公ともいえる役割をもってしまうのです。
この存在が物語をおもしろくしています。
毎巻、SROが扱う事件にはバリエーションがあって、9冊あっても(1冊は番外編作品)飽きません。
むしろ読むほどに登場人物たちに愛着が湧いてくるんです。
残酷な場面も登場しますが、思ったほど生々しさはない印象(※)です。
※私自身の感想です。個人差はあるかもしれません。
読む順番は出版日の古いものから!
読む順番は出版された順番に読めばOK。
物語の時系列順に読むことができます。(大事!)
むしろ、順番を間違えてしまうとストーリーが分からなくなってしまうのと、前の作品のネタバレを含んでしまうことがあるので、順番通りに読みましょう。
ちなみに、スピンオフ作品の『SRO episode0』は、Ⅴ(5)の次に読みましょう。
(Ⅴ以降ならどこでも読める作りではありますが、タイミング的にはⅤの後が正解)
シリーズが後半に進むにつれて、ストーリーや扱う事件にも変化が出てきて全然飽きがきません。
できるなら、他の作品をはさまずにシリーズ一気読みが推奨です!
- SRO1 警視庁広域捜査専任特別調査室 (中公文庫)
- SRO2 死の天使 (中公文庫)
- SRO3 キラークィーン (中公文庫)
- SRO4 黒い羊 (中公文庫)
- SRO5 ボディーファーム (中公文庫)
- SRO6 四重人格 (中公文庫)
- SRO episode0 房子という女 (中公文庫)
- SRO7 ブラックナイト (中公文庫)
- SRO8 名前のない馬たち (中公文庫)
- SRO 9 ストレートシューター (中公文庫)
現代日本が抱える問題にも迫る!
SROは、各都道府県警の管轄を超えて広域に捜査できる権限をもっている設定です。
シリーズの最初のうちは、その権限を使って都道府県をまたいで凶悪犯と対決しています。
ですが、後半に入ってくると現代社会が抱える矛盾や警察内部のあつれきが絡んできて、ストーリーがもっとおもしろくなってくるんです。
それに加えて、SROメンバー個人が抱える問題も表面化してきてハラハラする展開になります。
シリーズを通していくつかのストーリーが同時進行する上に、取り扱う事件のバリエーションも豊富。
最新の捜査方法。限られた人物しか知らない「マザー」。
科学警察研究所の研究員もいい味を出していて、実におもしろい!
警察上層部と捜査に関わる上位の人物しかアクセスできない警察庁のスーパーコンピュータ。
警察がもっている情報が管理されていて、公共の防犯カメラの映像や行方不明人の情報も取得できる。
シリーズを読むごとに登場人物への愛着が湧く
SROメンバーたちは、物語の多くの事件でそれぞれ活躍しています。
メンバーの背景ストーリーも各巻ごとに進展して、そちらの状況にも目が離せません。
さらに、SROシリーズが育てたモンスターの凶悪犯人もシリーズを経るごとに、なんとなく愛着が湧いてくるのが不思議です。
ストーリーは捜査側と犯人側、両方の視点で描かれるのでミステリー要素はほぼありません。
どちらの状況も分かるので、どうなるのか知りたくてページが止まらなくなってしまいました。
凝ったミステリー小説にあるような複雑すぎるトリックがないので、スムーズにページも進められます。
本を読むのが早い人なら1冊4~5時間ぐらいでしょうか。
かといって、1冊のボリュームは読み応えも充分。
それでいて、テンポもいい展開で文体もライトな感じで読みやすく、飽きないんです。
登場人物は全員、丁寧に描かれていて個性が強め。
大事にされているので、読んでいる私たちも愛着が湧いてきます。
作者の富樫倫太郎さんの作品のひとつに『北条早雲』があります。
また、こちらも人気シリーズの『軍配者シリーズ』でも北条早雲が登場。
その北条早雲。この名前は死後に名付けられていて、生前の名前は「伊勢新九郎」(いせしんくろう)。
(晩年は「伊勢宗瑞」そうずいと名乗っていました)
そう、SROの室長(主人公)の名前は「山根新九郎」。
きっと早雲好きの作者は、この山根新九郎にも特別な思い入れがあることと思います。
たぶん他にも、私たちが気づけていない伏線があるかも。
そういう遊び心を探しながら読むのも楽しいかもしれませんね。
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最後に。
一応、現在出版されている『SROⅨ』で「完結か?」になっています。
シリーズのラストシーンは衝撃的でした。
この先の展開を予感させる終わり方で、すでにシーズン2となる『SRO neo』シリーズが2024年1月に発売されています。
次のシリーズも気になりすぎるので、続けて読んでみてほしい作品ですね。
ちなみにSROシリーズはTBSでテレビドラマ化されています。
映像作品でも観てみたいのですが、DVDも配信サービスもされていないようですね。
書籍ではシーンを想像しながら読むのがいちばんおもしろいので、ぜひ書籍を購入してみてください。
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