客観性よりも大事なのは自分の感情をひも解くこと!『文章で伝えるとき、いちばん大切なものは、感情である』

こんにちは。山内健輔です。

文章術の本を読んで、基本的なポイントをおさえて文章を書いてみると、ありきたりな文章になってしまい、いまいちおもしろみのないものになってしまった経験があります。
(今もそうなのですが……。)

そんなときに出会ったのが、人気ライターのpatoさんの本。
patoさんの書く文章は、笑えて、共感できて、納得させられる、人の心を動かす文章です。

『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。読みたくなる文章の書き方29の掟』

人気ライターというと、お題を出されたらとてつもない速さでキーボードを叩き、あっという間に読みやすい文章を完成させるイメージがあります。

ですが、この本を読んでみると、そう簡単ではないことがよく分かります。

実は、人の心を動かす文章の数々は、深慮遠謀と試行錯誤に推敲を重ねた成果だったのです。

私も著者のpatoさんの文章に憧れて、この本を読み始めましたが、

おもしろい!

伝えたいことを繰り返し、いくつもの言い回しと根拠で解説していって、さらには、それを使った例文として物語が紡がれていきます。

その物語がまた、私と同世代の匂いがプンプンする文章。
ウィットとユーモアに富みながらも、読み手に自分の思いをバシバシ伝えてくるのです。

この本を読んだら、今回は真剣に「文章を書く」ということに向き合ってみたいと思いました。

ということで、今回はpatoさんの文章の本を紹介していきます。

『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である。読みたくなる文章の書き方29の掟』
pato (アスコム)2024年3月

客観性よりも大事なのは自分の感情をひも解くこと!『文章で伝えるとき、いちばん大切なものは、感情である』

※ご注意
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心を動かす文章を書きたい人に最適

こんな人におすすめ!
◯特徴のない文章になってしまう人
◯熱量のある文章を書きたい
◯読み手の心を動かす文章を目指す人
◯自分には文才がないと諦めそうな人
◯相手に文章を読んでもらえない
patoさんのような文章を書いてみたい!と思い、この本を読んでみたものの、
……無理そう
いきなり読み手を絶望に追いやるpatoさん。
はっきりと言っておくと、この本を読んだらみんなpatoさんのような文章をかけると思ったら、大間違いです。
patoさんは22年間かけて今の文章スタイルを築き上げていったのです。
この本は、読んだだけで文章がうまくなるわけではなく、「伝える手段」としての文章との向き合い方を学べる本です。
そう、どんなことに気をつけて文章の訓練をしていくかを教えてくれる本なのです。
patoさんは本文のなかで、文章力を筋肉に例えています。
ある程度の条件(=負荷)をつけてトレーニングしなければ、文章力(=筋肉)はつかない!

ってことは、

伝える文章を書くのは、才能がなくても努力でなんとかなるじゃないか!

patoさんの文章は、笑えるし、泣けるし、共感できるし、納得できる、読み手の感情に訴えてきます。
この本にも、そんなエッセンスが詰まっています。

『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である』

それを体現したのがこの本。
こんな文章が書きたいと思わせる本です。

笑えて泣ける文章術の本

この本の特徴は、

今までにない文章術の本!

とでもいえましょうか。

最初から「書く」ことに対しての絶望を解説していくなかで、文章への向き合い方を語ります。
細かい文章を書くときの約束ごとよりも、もっと大切な文章の読み手への配慮を説いていく過程で、相手に伝わるためにどうすればいいのかを考えさせます。

例文として紡がれていく物語も、単に解説したポイントを押さえるだけではありません。
ストーリーの登場人物を使って、大事なポイントを表現させてもいるのです。

物語と解説をセットにして学びつつも、表現や展開で読み手の感情を起伏させる筆致は見事としか表せません。

文章表現の方法を語りながらも、決して押し付けるわけでもなく、物語を通して納得させられる説得力があります。

ハウツー本でありながら、patoさんのエッセイでもあり、ちょっとした小説ともいえる本。
文章力を磨く目的でなくとも、読むだけでもおもしろい1冊でもあるのです。

自分の感情に向き合うこと。

絶望から始まる書き手の「あがき」
文章で相手に伝えるときに何を思って書くのか。

著者のpatoさんは言っています。

客観性はクソだ。

もちろん客観性は大事なんだけれども、それ以上に伝えたいのは「あなたの感情」のはず。
だからこそ、自分の感情を客観的に向き合い、ひも解いていく必要があるというのです。

確かに、文章の基礎を踏まえて自分の感情を出さずに書くと、なんの特徴もない、味気ない文章ができあがります。
結局、相手の心にも届かないし、印象にも残らない。

おもしろい文章、心に残る文章って、書いている人の性格というか人間性がなんとなくわかるような文章だと思いませんか?

今までに自分が書いた文章を見返してみると、客観的に書いているようでいておもしろみのない文章になっていたことに気づきます。

自分の感情に向き合って、それを客観的にひも解いていく過程が抜けていたんです。

今までいくつかの文章術の本を読んできました。
論理的な文章が説得力があるという認識になっていました。

ですが、人を動かすのは理屈ではなく感情
相手の感情を動かすことが、「伝わる」ってことがこの本を読んで理解できたように思います。

うまい文章を書くには努力が必要

最後まで読んで、もう一度本を読み直してみると、いろいろなところに後半部分の伏線が張ってあることに気づきます。
きっとこの本を書くのにも推敲に推敲を重ねたのでしょう。
ひとつの文章にとてつもない手間と時間を書けているのかもしれません。
一冊のエッセイ、もしくは小説を読んでいるような気分にさえなります。

読み終わったら、なぜか楽しくて文章を書いてみたくなります。

この本では、文章の具体的な約束ごとについて書かれているのはわずか。
ですが、文章を書くに当たっての心構えこころ配り絶望おもしろさを学ぶことができます。

なによりも安心できたのは、文章には才能はいらないってこと。
むしろ文才は邪魔にさえなるってこと。

ただし、「伝わる文章」を書くには、努力が必要です。
patoさんは22年間の試行錯誤で絶望を克服した人。
いわば、達人、いや仙人のようなものかもしれません。

『文章で伝えるときいちばん大切なものは、感情である』を読んでも、すぐにpatoさんレベルの文章がかけるわけではありません。(当たり前ですが)
でも、「伝える文章」の書き方のヒントは間違いなくもらえます。

最後に。

文章のハウツー本、文章の書き方教室のような本を想像している方にはおすすめできないかもしれません。
ただし、文章を書くのに行き詰まったり、もっと相手に「伝える」方法を探したりしている人には最適です。

文章の本なのに、読み終わったあと感動して、モノを書きたくなる。
たしかにこの本で私は心を動かされたのです。
書籍のタイトルを実感したんです。

もし、あなたが読もうかどうか迷っているならぜひ読んだほうがいいです。
文章だけじゃない、ヒントをもらえるはずです。

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