小説『デッドエンド』(柴田哲孝)はエンターテイメント色濃厚な作品

こんにちは。山内健輔です。

今回の記事では、柴田哲孝のおすすめ小説『デッドエンド』を紹介していきます。

作家の柴田哲孝さんはいろんなジャンルの小説、ノンフィクションを書いている作家さんです。
彼の作品は文章に引き込まれやすくて、私もよく読んでいます。

今回紹介する小説の主人公は、IQが高い東大卒のエリートで、脅威の走力をもつクライマー
とんでもない頭脳と身体能力をもつ男が強大な敵を相手にアクションと頭脳戦で挑むヒーロー物語です。

・・・こんな紹介文をみると空想的でいかにもライトノベルにありそうな設定にみえますが、実際は超リアルな描写でストーリーがおもしろいんです。

今回もネタバレなしで紹介していきます。

小説『デッドエンド』(柴田哲孝)はエンターテイメント色濃厚な作品

『デッドエンド』2014年5月(双葉社)
柴田哲孝
※ご注意
記事執筆時点の情報です。記事ではできるだけ正確な情報を公開することを心がけていますが、金額、内容、出版社、その他の情報が変更されている場合があります。
確認してから購入することをおすすめします。

 

こんな人におすすめ

こんな人におすすめ
◯エンターテイメントを求めている
◯一気に読めるおもしろい小説を探している
◯スーパーヒーローな主人公
◯小説にリアルさを求めている
◯柴田哲孝ファン
あらすじ
笠原武大は、妻を殺害した罪で無期懲役で服役している。だが、彼は一日も早く刑務所を出ると決意していた。たとえどんな手を使ってでも。綿密な計画を練り、数十台のカメラの監視をかいくぐって、笠原は高さ三・五メートルの塀を越えた。大胆な動きで警察の追手を躱しながら、「あるもの」を手に入れ北を目指す笠原。しかし、そんな彼に自分の娘が誘拐されたというニュースが飛び込んでくる。
双葉社 デッドエンド 紹介ページより引用
人によって小説に求めているものは違いますが、私は「リアリティ」のある小説を好む傾向にあります。
ちょっとしたファンタジー要素があっても全然問題ないのですが、あまりに現実からかけ離れてしまっているものはあまり読んだことがないんです。
ですから、リアリティのある柴田哲孝作品は多く読んでいます。
もちろん小説でフィクションですから、ある程度は突飛な設定があってもいいと思っています。
この『デッドエンド』の主人公も「IQ170以上で元アスリート、とてつもない体力の持ち主」ってことで、現実離れはしていますよね。
でも、これぐらいなら問題なし!
むしろ自分もこれぐらいの能力があったらなぁ~なんて空想しながら楽しめるぐらいです。
この本はアクションあり、頭脳戦あり、ロマンスあり、ミステリーあり、多くの要素を含んだ怒涛のエンターテイメントな作品。
文章も読みやすいので、すぐに物語に引き込まれます。
読んでいるうちに登場人物たちにも感情移入できて、一気読みできちゃう小説です。
シリーズ物なので続けて読める楽しみもありますよ。
田臥健吾シリーズ(デッドエンドシリーズ)
デッドエンド (2014年)

クラッシュマン(2016年)
リベンジ (2018年)
ミッドナイト(2020年)
このシリーズでは、デッドエンドに登場する田臥刑事と娘の萌子が登場して活躍する作品です。

クライマックスに向けて物語が一気に加速する!

本の特徴は、

  • 主人公が天才
  • リアリティがある
  • ハードボイルド
  • ミステリー
  • サスペンス
  • アクション
  • 展開が速い
  • 一気読み

柴田作品ほとんどの主人公がアウトドア、サバイバル能力が高いのが特徴。
この小説の主人公はそれに加えて、アスリートの身体を持ち、頭脳が高いスーパーマン。

前半
最初のうちはいろんな視点で、場面切り替えが多く、混乱しやすいかも。

中盤
物語が繋がり出す

後半
クライマックスに向けて一気に加速!

映画のようなエンターテイメント感

『デッドエンド』は「行き止まり」っていう意味。

警察と政治家、さらには犯罪者にも狙われながらも自分の正義を貫く男の姿を描いたエンターテイメント。
まさに状況は普通の人なら絶望的ともいえる状況です。

デッドエンドのエンターテイメント要素
ハードなアクション
黒幕との対決
逃亡生活
誘拐
戦闘
ロマンス
心理戦
頭脳戦
ミステリー

エンターテイメントの多くの要素を兼ね備えた小説です。
オジサン世代の私たちが思い浮かべるのは、

ジャッキーチェンの映画を観ているよう!

まぁ、若い人たちには分からない例え話ですよね。
でも、実際に感覚としては断崖と絶壁に囲まれた「行き止まり」の状態からどう生還するかっていう映画が思い浮かぶような作品なんです。

小説は何人かの視点で描かれますが、書き方もそれらの人物に感情移入してしまいます。

事件の真相はラストが近づくまで分かりません。
緊張感スリルが息つく暇もなく繰り広げられるんですが、読みやすく引き込まれるので一気に読み進められますよ。

難しく考える必要はない!

柴田作品を読んだことがある人は「神山シリーズ」を思い浮かべるかもしれませんね。

今回のデッドエンドシリーズはちょっと趣向が変わっていながらも、充分にミステリーアクションハードボイルドが楽しめる作品です。

緊張感の連続なので、読んでいる途中はちょっと疲れるきもしますが、読後はそこから一気に解放されるのでなにか爽快感が感じられます。あまり長すぎないところがいいです。

柴田作品に特有のリアリティがありながらもエンターテイメントを忘れない特徴は健在です。

あまり深くは考えずに読むとちょうどいいですよ。

私立探偵神山シリーズもめっちゃおもしろい作品ですよ。
柴田哲孝の『私立探偵神山健介シリーズ』は読む順番が大事。

最後に。

柴田作品はフィクションもノンフィクションも書いていますが、どの作品にも社会や人類の問題に対する疑念を問題提起しています。

この本も事件の真相にその問題提起を行っています。
「難しく考えずストーリーを楽しんでください」と言っておきながら申し訳ないのですが、そういった問題も意識しながら読むとより一層楽しむことができるはずです。

このシリーズは展開が速く読みやすいので、シリーズを揃えて一気に全部読みするのも楽しいですよ。

デッドエンドシリーズ(田臥健吾シリーズ)

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